【相続放棄シリーズ】1 相続放棄にはご法度がある

3月に入り,暖かい日が増えてきました。

 

もっとも,この時期は例年花粉症に悩まされる時期であり,しかも今年はコロナウィルスの問題もあるので,外出には気を付けたいところです。

 

東京駅前にある弁護士法人心にて,相続案件を扱っている,鳥光でございます。

 

相続放棄に関する相談を受けることが非常に増えたことから,今後ブログにて相続放棄に関する情報を発信していこうと考えております。

 

今回は,第1弾として,相続放棄を検討している段階において,行ってはならないことをまとめます。

 

1 原則

相続財産の処分をしてはいけません。

これを行うと,相続放棄が認められなくなります(法定単純承認事由)。

 

2 処分って何?

もっとも,条文には「処分」としか書いておらず,具体的に何が処分にあたるかについては,未だ明確になっていません。

 

不動産の名義変更をして売り払ったり,預貯金の払い戻しを受けて自分のために費消することは,処分の典型にあたりますので,絶対に行ってはならないということはわかります。

 

しかし,(普通に考えればゴミのような)残置物を処分したり,亡くなった人の携帯電話の解約をしたり,公的な支給金を取得したり,被相続人の宛ての請求の支払い等についてはいかがでしょうか。

 

これらについては,通説,実務上は法定単純承認事由とならないケースもありますが,明確に条文や判例において認められているわけではないので,非常に悩ましいと言わざるを得ません。

 

ネット上には様々な情報が存在しています。

そのほとんどは正しい情報であると考えられますが,抽象的なものであるため,実際にご自身が行おうとしている行為が本当に法定単純承認事由に該当しないか否かは,個別具体的に当てはめを行って判断しなければならず,簡単には判断できないのです。

 

これは私見ですが,相続放棄はここ数年で急激に増えていることもあり,相続放棄制度に付随する上記問題について,法整備が追い付いていないのではないかと感じることもあります。

 

3 では,どうするか?

相続放棄の可能性があるならば,とにかく,余分なことをしないという意識を持つことが一番重要です。

極論すれば,被相続人がお亡くなりになったことを知った際,とりあえず何もしないのが一番安全です。

 

さらに言えば,被相続人がご存命のうちから,相続放棄制度について理解し,うっかり法定単純承認に該当しそうな行為を行ってしまわないように予備知識を入れておくことが大切です。

 

音信不通で疎遠な親族がいる場合にも同じことが言えます。

当該親族が亡くなると,突然相続人に対して借金や滞納家賃等の請求が来ることもあります。

そのような時に,相続放棄の知識がないと,焦って請求に応じてしまい,後戻りが困難になる可能性もあります。

 

しかし,現実には,相続放棄のご相談をいただいた時点において,すでに法定単純承認事由に該当するかもしれない行為を行ってしまっているケースの方が多いです。

 

そのような場合,事情を詳しくお聞かせいただき,法律構成の仕方によっては,相続放棄が認められるようにできる可能性もありますので,ぜひご相談ください。

相続放棄をお考えの方はこちら

実践・生前整理 2

2月に入り,寒さもあと少しという感じになってきました。

 

もっとも,その後は花粉の季節になりますので,色々と対策が必要ですね。

 

東京駅前にある法律事務所で相続案件を扱っている,鳥光と申します。

 

生前整理シリーズ第2弾です。

 

今回は,持ち物を減らすことで,法律関係を整理,最小化するというお話をさせていただきます。

 

この写真は,以前泊りで出張した際に携行した財布類と時計です。

 

 

財布類は,アブラサスの薄いマネークリップと,小さい小銭入れです。

 

これらは,いわゆるミニマリストと呼ばれる方々に大変人気がある品です。

 

マネークリップには,カードが5枚しか入りません。

 

このような財布を使うと,必然的にカードの枚数を減らすことになります。

 

具体的には,クレジットカードとキャッシュカードを絞らなければなりません。

 

ポイントカードもなくしていく必要があります。

 

クレジットカード,キャッシュカード,ポイントカードを減らすと,当然法律関係も減らせます。

 

財布類をミニマライズすることは,物と法律関係を減らすことに直結します。

 

時計はクォーツ式のもので,そこまで高価なものではありません。

出張の時は便利なので使っています。

 

これ以外に,機械式の時計を2つ持っています。

 

機械式の時計の方は,やや財産的価値があるので,1箇所に纏めておき,仮に私が死亡した際,相続人が換金等をしやすくしてあります。

 

 

これは,出張に着て行った衣類です。

 

 

冬はインナーにダウンを着ます。

 

冬以外のシーズンはダウン無しで着ます。

 

こうすることで,コート類を持たずに済み,残置物となり得るものを減らせます。

 

スーツは,以前は10着近く持っていましたが,現在は4着です(うち1着は,ユニクロの感動ジャケットと感動パンツです)。

 

仕事はスーツを着るほか,普段もちょっとした外出の時はスーツを着てしまいます。

 

仕事着を普段も使いまわすことで,衣類も減らすことができます。

 

このようにして,私の所有権に属するものを最小化します。

相続放棄と金銭請求手続き

2月に入り,暖かい日と寒い日が入り混じるようになりました。

 

急に寒くなったり,雪が降るような日もありますので,体調管理には気を付けたいところです。

 

弁護士法人心東京駅法律事務所で相続案件を中心に取り扱っている,鳥光でございます。

 

去年から相続放棄の取扱件数が非常に増えております。

 

相続放棄は,手続きそのものは単純ですが,付随する問題はたくさんあり,それに対する対処は簡単ではありません。

 

その中でも,特に相続人を悩ませるのが,死亡保険金や公的機関からの給付金・還付金等の類です。

 

なぜなら,相続放棄という制度は,法定単純承認に該当する行為をすると認められないというルールになっているためです。

 

この法定単純承認に該当する行為の中には,被相続人の債権の取り立てが含まれるとされています。

 

つまり,請求をして受け取った金銭の中に,被相続人の債権に基づくものがあると,相続放棄が認められなくなる可能性が出てきてしまうのです。

 

本当に保守的に考えるのであれば,すべて一切受け取らないという選択を取ることになります。

 

しかし,死亡保険金などは,100万円を超えるものもあり,切り捨てるには惜しいものでもあります。

 

そこで,ご相談をいただくことが多い,死亡保険金・死亡退職金,葬祭費の給付金,未支給年金について,一般的な考え方を案内いたします。

 

1 死亡保険金・死亡退職金

 

契約者・被保険者が被相続人,受取人が相続人となっているものは,受け取ることができます。
言い換えますと,相続人固有の権利となっている場合,相続財産ではないので,受け取っても法定単純承認事由には該当しません。

 

2 葬祭費の給付金

被相続人の葬儀費について,喪主や相続人に対して市区町村より補助金が給付されることがあります。
これについては,条例でもって葬儀を主宰する者に支給するという条文が通常ありますので,これに該当する給付金であれば受け取ることができます。

 

3 未支給年金

未支給年金とは,被相続人に支払われるはずであった年金のうち,支払い日までに被相続人が死亡してしまった場合に給付される年金です。
これについては,法律で受取人の順位が決められており,その受取人固有の権利とされるので,受け取ることができます。

 

しかしながら,実務の現場では,さらに大きな壁があります。

 

考え方を知っていることと,請求しようとしている金銭が法定単純承認事由に該当しない法的性質のものであると確定できることとは,全く別の問題です。

 

死亡保険金・死亡退職金は,契約の内容によっていくらでも性質が変わってきますし,会社によって書き方や表現の仕方も変わるので,個別具体的に確認しなければなりません。

 

公的機関から受け取ることができる金銭についても,都度何の法律のどの条文に基づくものであるかを,できれば窓口で確認し,支給の根拠条文が記された書面をもらいたいところです。

 

上には記載しませんでしたが,高額医療費の還付金などは,より複雑です。

高額医療費の還付金は世帯主に支払われるものです。

高額医療費を支出した人が世帯主であり,亡くなった場合,相続人を世帯主に変更すると,一見相続人固有の権利として還付金を受取れそうに見えます。

しかし,高額医療費の還付金を請求できる権利が確立した日が,被相続人死亡日前であったりすると,還付金請求権が被相続人の債権ともなり得ます。

こうなると,請求することは差し控えた方がよいということになります。

実践・生前整理 1

ブログをご覧いただき,ありがとうございます。

 

相続案件をメインに取り扱っている弁護士の鳥光と申します。

 

相続の中においても,相続に関わる手続き,生前整理・生前対策に力を入れております。

 

生前整理は,遺産分割における争いを予防し,仮に争いになったとしても長期化・激化を抑える働きがあります。

 

生前整理という言葉は抽象的ですが,相続における紛争予防の観点からは,以下3つを行うことであると考えております。

 

①相続財産として通常価値のない物(衣類や家電,日用品など)をとにかく最小限にする

 

②価値のある財産(預貯金等の金融資産,不動産,その他価値ある動産)をリスト化する

 

③②の財産をシンプル化する

 

生前対策をアドバイスする上で,私自身,自宅の物を最小化(ミニマル化)する取り組みを行っております。

 

自分が死亡した際,相続人や関係者が残置物の処分に困らないよう,とにかく家財道具は減らせるだけ減らしました。

 

自宅のエントランスです。

洗濯機くらいしか置いておりません。

 

 

 

部屋には,デスクと寝床,あとは写真には写っておりませんが,メタルラックが一つあるのみです。

 

 

 

衣類も,これでほぼ全てです。

 

 

 

写真には写せませんが,金融資産に関する情報や,アンティークコインなど財産的価値のある動産は一か所に集約しています。

 

現在不動産は有しておりませんが,仮に不動産を購入したのであれば,売買契約書や登記簿,権利証(登記識別情報)等も一か所にファイリングします。

 

そして,手書きでもよいので,これらの財産をリストアップした表(財産目録)も作っておきます。

 

今後は,銀行口座の数や,クレジットカードの数を減らし,法律関係の最小化を進めていきます。

相続放棄は簡単?

新年が明けまして,令和も2年目に入りました。

 

東京で相続を中心に取り扱っている,弁護士の鳥光と申します。

 

今年もよろしくお願いいたします。

 

ここ数年,相続放棄がとても増えています。

 

亡くなられた親御さんが多額の借金を有していたため,突然金融機関から多額の請求をされ,大変な不安を抱えながらご相談に来られる方も多いです。

 

相続放棄は,本当は簡単な手続きではありません。

 

申述書の書き方,裁判所からの質問状への回答,相続放棄が完了するまでの残置物や債権者への対応,相続放棄完了後の債権者からの訴訟リスク対応等,どれか一つ間違えても,相続放棄が認められなかったり,親の借金を背負うことになってしまったりします。

 

また,相続放棄の代理人になれるのは弁護士のみです。

 

相続放棄申述書を裁判所に提出すると,裁判所から質問状が送付されてきます。

 

この質問状は十数問に渡る複雑なものである場合もあり,回答の仕方次第では,相続放棄が却下されるリスクがあります。

 

送付先は本人の場合もあれば,代理人の場合もあります。

 

代理人がいない場合(ご本人または弁護士以外に相続放棄を頼んだ場合),質問状は本人に送られてきます。

 

代理人に送付された場合,ちゃんと相続放棄が認められる内容で回答することができます。

 

さらに,代理人が就いていると,裁判所によっては質問自体をせずに受理してくれることもあります。

 

ご本人に質問状が送られたとしても,代理人がいれば質問の趣旨等を代わりに裁判所に問い合わせたうえで,的確な回答作成をサポートすることができます。

特に,被相続人の死亡から3か月以上経過している場合や,遺産分割協議など法定単純承認事由に該当する行為を行っている場合,過去の審判例などを引用したうえで,疎明資料を添付し,必要に応じて代理人として裁判所と電話や書面のやり取りを行います。

 

私は,被相続人が亡くなってから5か月経過しており,かつ被相続人の預貯金でもって被相続人の債務を返済してしまったケースにおいても,事情を詳しくお聞かせいただき,相続放棄が認められる法律構成を行い,裁判所に対して上申書等を提出した結果,無事相続放棄を認めてもらうことができた実績もあります。

 

相続放棄でお悩みの際は,ぜひご相談ください。

相続の観点でのミニマル化の注意点

ここ数日で急激に下がり,冬も本番といった気候になってきました。

 

東京駅前で相続案件を取り扱っている,弁護士の鳥光と申します。

 

今日もアクセスをいただき,ありがとうございます。

 

先日は,持ち物を最小限に減らす生活スタイルのお話をしました。

 

持ち物を減らす過程においては,通常ウェブサービスなどを利用し,紙媒体等の物理的な存在をIT化によって減らしていくことが多いです。

 

契約書類しかり,金融機関の通帳やカード等しかりです。

 

一般的には,物が少ないほど,その人が亡くなった時に相続人が苦労しないで済みます。

 

もっとも,IT化については注意が必要です。

 

やや極端な例ですが,仕事上の契約書や預貯金のサービスなどをスマホ1つに集約している場合,そのスマホを操作できる人が亡くなってしまうと,財産の情報を調査することが非常に困難になります。

 

仮にスマホ自体は見ることができたとしても,ウェブ上のサービスはIDとパスワードが求められることが大半ですので,これらの情報がわからないと調査ができません。

 

IDやパスワード等の情報を解析するサービスも存在しますが,確実にID・パスワードを割り出せるとは限りません。

 

そのため,もしもの時のために,保有している資産の情報と,これらにアクセスする手段だけは紙媒体等アナログな形で残しておき,信用できる人に保管場所を教えておく等の対応が必要です。

 

または,遺言を作成することが有効です。

 

遺言を作成する過程においては,自身が保有している財産を洗い出す必要があるためです。

 

もっとも,遺言では,契約の名称やその相手方,預貯金がある金融機関等は特定できますが,IDやパスワードは記載しません。

 

そのため,ID・パスワードは別の媒体に記載し,遺言の付言事項等にその保管場所を記載するといった対応をすることが考えられます。

相続人のためのミニマル化

今年も年の瀬となりました。

 

取引先へのご挨拶,会計処理,連休前のタスク消化など,お忙しい方も多々いらっしゃるかと思います。

 

今回もブログをご覧いただき,ありがとうございます。

 

弁護士法人心東京駅法律事務所にて,相続案件を担当している鳥光でございます。

 

小職は,昨年から持ち物,法律関係を整理し,必要なもののみに絞っていくという活動をしております。

 

いわゆる,ミニマリストと呼ばれる生活態様を目指しております。

 

持ち物,法律関係を最小限にすることで,自分が何をどれだけ持っているか,どことどのような法律関係にあるか(特に金銭債権・債務があるか),ということを正確に管理できるようになります。

 

このことは,一般論として,相続を円滑にすることにもつながります。

 

相続が発生した際,初めに相続人を悩ませるのが,相続財産の洗い出しだからです。

 

預貯金がどこにどれだけあるのか,不動産を所有しているか否か,所有しているのであればその資料はどこにあるのか,貴金属など金銭的価値のある動産があるのかなど,被相続人が所有している物や法律関係が多ければ多いほど,調査しなければならないことが増えます。

 

また,財産的価値のない残置物などは,処分に手間もお金もかかり,その費用を巡って相続人間で争いになることもあります。

 

小職自身,明日事故などに遭って死亡する可能性もゼロとは言い切れません。

 

明日自分が死ぬ可能性があることを念頭に置き,その後の家族の負担をどれだけ減らせるかという観点で,日頃から整理しております。

生前整理と相続人の負担の軽減

東京駅法律事務所にて,相続案件を中心に担当している鳥光と申します。

 

相続を円滑に進めることと,自身の所有物や法律関係を生前に整理・片付けを行うことは,とても密接な関係があります。

 

一言で申しますと,被相続人がお亡くなりになった時の財産がシンプルであるほど,相続財産調査,残置物処分が楽になるため,相続手続きは円滑に進みます。

 

富裕層における相続税対策等の観点をひとまず措きますと,相続財産が預貯金等のみである場合が最も円滑に手続きを進められます。

 

動産は,少なければ少ないほど良いです。

 

残置物の処分の手間・費用が少なくて済みますし,相続放棄を検討する際にも悩む必要がなくなるためです。

 

不動産があると,相続手続きの手間はグッと増えます。

 

まず,登記簿や固定資産税通知書を探し,相続財産である不動産の正確な情報を割り出さなければなりません。

 

そのうえで,評価額を算定し,誰が当該不動産を取得するかを決め,遺産分割協議書作成後,相続登記を行うことになります。

 

相続放棄をする場合には,不動産があると管理責任が残りうるため,相続財産管理人の選任申立ても検討しなければなりません。

 

この場合,手続きを代理人に依頼する場合には手数料が必要ですし,裁判所に対しても多額の予納金を納めなければならず,相続人の負担はとても大きくなります。

 

人間は,いつ亡くなるかわかりません。

 

特に高齢になればなるほど亡くなる可能性は高くなっていきます。

 

若い方ももちろんですが,高齢に差し掛かった方こそ,日頃から不用品の片付けを心掛け,相続人が使うあてのない不動産は早めにお金に換え,使っていないカード類を解約しておくなどをしておくことで,相続人の苦労を事前に減らすことができます。

生活のミニマル化と相続

アクセスありがとうございます。

 

東京駅法律事務所で相続案件を担当している弁護士の鳥光と申します。

 

数年前から,ミニマリストという言葉が登場してきた記憶があります。

 

明確な定義は無いと思慮しますが,自らの生活にとって必要十分な物・法律関係のみを持って生活する人,というニュアンスだと思います。

 

このようにすることで,自分は何をどれだけ持っているのかが明確になり,管理の労力が減るという効能があります。

 

相続の観点からは,ミニマリストの趣旨と,生前整理・終活は非常に相性が良いと感じております。

 

著名なミニマリストの方も,(まだお若いのに)終活についてのご意見を述べていたりします。

被相続人が,生前整理として,必要最低限の物のみを持つようにして,所有物・法律関係を最小化しておけば,お亡くなりになった際,相続人が遺産を整理することが容易になり得ます。

 

預貯金等を1つの金融機関に纏めておけば,通帳やカードも1つで済み,口座の名義変更手続きも1回で済みます。

 

動産を極力減らしておけば,処分は簡単です。

私自身,昨年までは物を多く持っていましたが,かなりの量の処分をしました。

 

その過程で,預貯金等の金融資産の棚卸や,ほとんど使っていないクレジットカードの解約等も行いました。

 

自分が次の日,交通事故などで死ぬかもしれないと仮定して,自分の相続人が困らないようにするにはどうしたらよいか,という観点で片付け,整理を行っております。

 

通帳などの財産状況がわかる資料は一か所に纏め,自宅の賃貸借契約書など法律関係に関わる書類は纏めて一つのファイルに綴じました。

 

このような準備をしたうえで,遺言を作成し,付言事項に書いておけば混乱が起きにくいと考えております。

予防法務と相続放棄 その2

弁護士法人心東京駅法律事務所にて,相続案件を中心に担当している鳥光と申します。

 

さて,前回に引き続き,相続放棄における生前対策のお話です。

 

前回,相続放棄には次の2つの特徴があるため,事前に抑えておかなければならない点がある旨を書きました。

 

 

1 申述期限が相続開始を知った日から3か月以内と,非常に短いこと

 

2 相続放棄が認められなくなる行為をしてはならないこと

 

 

今回は,2についてお話をいたします。

 

相続放棄は,法定単純承認に該当する行為をしてしまうと,認められなくなります。

 

法定単純承認に該当する行為とは,相続財産の処分です。

 

すなわち,被相続人の財産を売却したり,廃棄したり,自分の名義に換えることをしてしまうと,相続放棄ができなくなる可能性が発生してしまいます。

 

また,積極財産だけでなく,被相続人宛ての請求(負債)に応じて支払いをすることも法定単純承認に該当する行為になることがあります。

 

財産を処分した後でこのことを知っても,取り返しがつきません。

 

そのため,相続が発生する前に,このことをしっかり抑えておく必要があるのです。

 

しかしながら,一点難しい問題があります。

 

それは,相続財産の処分には,どのようなものが含まれるのか,という点です。

 

わかりやすい例としては,相続人が被相続人の預貯金を引き出して私利私欲のために費消したり,金品や不動産を売却してしまうことが挙げられます。

 

他方,被相続人の住居にある残置物の処分はどうでしょうか。

 

残置物は,たとえ再販価値がほとんどなくとも,被相続人の所有物であったものなので,相続財産の一部です。

 

生ごみや紙くずなどの明らかなゴミなら処分してよいのか,古い家電は処分しないでおくべきなのか,かなり悩ましいのが現実です。

 

特に被相続人が賃貸物件に住んでいた場合などは,賃貸人や管理会社との関係でも,早く処分して明渡したいと感じるのが人情です。

 

他にも,被相続人あての水道光熱費の請求なども,支払ってしまいたくなると思います。

 

しかし,踏みとどまっていただく必要があります。

 

このような場合,基本的には一切手を付けず,債権者から何らかの連絡が入った場合には相続放棄手続き中である旨を伝えていただくのが安全です。

 

そのうえで,賃貸人などの債権者に掛ける迷惑をどのように低減するかを検討します。

 

相続放棄は,手続き自体は複雑ではありません。

 

しかし,相続放棄を検討されている方が置かれている状況は,複雑かつ悩ましいケースが多いと感じます。

 

安心して相続放棄を行うために必要な事前対策はケースバイケースですので,相続放棄を検討しようと思い立った段階でご相談をいただくのがベストです。

予防法務と相続放棄 その1

東京は台風も通り過ぎ,秋らしい気候になってきました。

 

一日の中での気温の変化が大きいので,体調管理には気を付けたいところです。

 

数年前から,「予防〇〇」という言葉をよく耳にします。

 

なじみのあるものとして,予防医学というものがあります。

 

これは,病気になってから治療をするのではなく,予め病気にならないように備える行動をするというものです。

 

法律全般についても予防法務という言葉があります。

 

紛争が起こってから法的に解決するのではなく,予め法的な紛争が起こらないようにするというものです。

 

そして相続についても同じことが当てはまると感じます。

 

相続の場面でいえば,「生前対策」と言い換えることもできます。

 

生前対策と一言で申しても,かなり幅が広いです。

 

遺産分割の争いを予防するために遺言を作成する,相続税の支払い資金を用意するため生命保険に入る,など様々なものが考えられます。

 

今回は,次回との2回に渡り,相続放棄についての生前対策を考えてみます。

 

相続放棄と生前対策は,一見結びつかない感じがします。

 

しかし,相続放棄には,事前に抑えておかなければならない点がたくさんあります。

 

その理由は,相続放棄には以下の2つの特徴があるからです。

 

1 申述期限が相続開始を知った日から3か月以内と,非常に短いこと

 

2 相続放棄が認められなくなる行為をしてはならないこと

 

まず,1につきまして。

 

相続放棄は,裁判所に提出する申述書を作成しなければならないことに加え,戸籍謄本類などを公的機関から取り寄せなければなりません。

 

ご兄弟の相続放棄などは,取り寄せる資料が多く,非常に時間と手間がかかります。

 

申述期限が非常に短いため,被相続人が亡くなった(相続が開始した)ことを知ってから相続放棄のことについて調べたり,検討を始めたりすると,相当タイトなスケジュールで資料入手やその後の手続きを行わなければなりません。

 

平日日中にお仕事をされている方であれば,かなりの無理を強いられる可能性もあります。

 

そのため,例えば多額の借金を抱えている親御さんが亡くなりそうで,相続放棄をする可能性があるのであれば,予め必要な書類や手続きを確認しておき,お亡くなりになられたらすぐに相続放棄のための行動を開始できるようにしておく必要があります。

 

次回は,2について説明いたします。

相続財産調査の労力

相続財産調査は,遺産分割および相続税申告(相続税が課せられるか否かの調査含む)の両方で必要な手続きです。

 

相続財産調査は,相続人ご本人様でも行えます。

 

むしろ,未だ相続財産調査を相続人ご本人様に行っていただく方が主流かもしれません。

 

客観的な視点からは,相続人ご本人様が調査を行う方が,手間は少ないです。

 

金融資産の調査においても,不動産の評価についても,相続人ご本人様が行う方が代理人への委任等の作業を省けるので,手続きは少なくなります。

 

しかし,相続人ご本人様が相続財産調査を行う場合,主観的な部分において,壁となるものが2つあります。

 

1つは,相続財産調査の前工程である相続人調査です。

 

正確には,ご自身が相続人であることを公的に証明する資料である戸籍謄本類の収集です。

 

これがないと,金融機関等は相続財産調査の照会に応じてくれません。

 

ご自身や被相続人の死亡時の戸籍を取得することはそれほど難しくありませんが,被相続人の出生から死亡までの戸籍を収集することは簡単ではありません。

 

もう1つは,時間の確保です。

 

戸籍謄本類を取り寄せる市役所等は,基本的には平日日中しか開いていないことが多く,金融機関は平日の15時までしか窓口を開いていないことが多いです。

 

既に定年等によりお時間を確保しやすい状況の方であればまだしも,現役でお仕事をされている方がお仕事の合間に,あるいはお仕事を休んで市役所や金融機関に行くのはとても大変です。

 

このような壁にお悩みの方は,後に行う遺産分割の協議や相続税申告等含め,相続財産調査を専門家に依頼するのが良いと考えられます。

 

相続人調査はもちろん,金融機関の名称や不動産の所在地などについて,正確ではなくてもある程度の情報をいただければ調査は可能です。

東京で相続でお困りの方はこちらをご覧ください。

地銀,信用金庫の調査

涼しい日も増えて参りましたが,まだ時折30℃を超える日もあります。

 

熱中症にはご注意ください。

 

先日,仕事で静岡県浜松市の裁判所に行って参りました。

 

初めての場所であったことと,裁判所の期日が午前の早い時間に行われる予定であったことから,期日前日に浜松へ行き,現地を散策しました。

 

私は相続に関わる仕事の中でも,相続財産調査,特に金融資産の調査を行うことが多々あります。

 

相続財産調査を弁護士が行うことで,その後の遺産分割の進め方も同時並行で検討することができるため,遺産分割協議を早期に解決することが可能になることもあります。

 

そのため,仕事柄,現地の地銀や信用金庫を見ると,ついチェックしてしまいます。

 

 

 

弁護士法人心東京駅法律事務所がある東京の八重洲周辺は,全国の金融機関の支店が集中しております。

 

金融資産の調査を行う上で非常に便利なので,早く正確な調査ができます。

 

金融機関に対する財産の照会は,一般的には郵送で行うことが多いです。

 

しかし私は,可能な限り直接窓口に行くという方針を採っております。

 

直接窓口に行って,申請に必要な書類の書き方等を綿密に確認した方が,結果として手戻りを減らすことができ,迅速な調査につながるためです。

 

東京の八重洲付近にない金融機関については,出張などの機会に現地調査をし,密にコンタクトを取り,正確性と迅速性を確保しています。

相続財産の評価

暑い日が続いております。

 

東京は気温が高いだけでなく,アスファルトやコンクリートが熱を吸い,夜に放出する関係で,夜になっても気温が高いままです。

 

熱中症には十分にお気を付けください。

 

さて,遺産分割協議を行うにあたり,相続人間で具体的な分割の話をする前に行わなければならないことは,相続財産の確定です。

 

相続財産には「何」があり,それは「いくら」なのか,を確定させます。

 

今回は「いくら」の部分についてお話をさせていただきます。

 

預貯金や不動産,株式など,被相続人の財産がわかりましたら,これがいくらになるのか,評価額を調べる必要があります。

 

理由は,相続人間での遺産分割の公平性を確保するためです。

 

例えば,相続人が兄弟2人だけで,法定相続割合に従って2分の1ずつ相続財産を分けるとします。

 

その際,相続財産すべてを金銭に評価し,総額を明らかにしないと,それぞれの相続人が本当に法定相続割合に基づいて相続財産を取得できているかを客観的に判断することができません。

 

仮に兄が現金と預貯金,弟が土地と株式を取得するとした場合,土地と株式の金銭評価額が明らかになっており,兄が取得する現金預貯金と同額であれば,お互いに納得することができます。

 

具体的な評価について,預貯金は被相続人死亡時の残高がそのまま評価額になるので問題ありません。

 

株式,投資信託についても,被相続人死亡日の価格が評価額になります。

 

証券会社に依頼することで,当時の価格を記載した書面を発行してもらえます。

 

問題は不動産です。

 

不動産の評価額を表すものは,いくつもあります。

 

固定資産評価額,路線価,公示価格,不動産鑑定士による鑑定額,不動産業者による査定額などです。

 

遺産分割においては,どの評価額を使うかは決まっておりません。

 

極端なことをいえば,相続人間で合意が取れれば,いくらでも構わないのです(遺産分割における評価額と,相続税評価額は別物です)。

 

しかしながら,不動産の代償分割においては,評価額は争いのポイントとなり得ます。

 

不動産の代償分割とは,相続人の一部が不動産を取得する代わりに,他の相続人に対して金銭の支払い等を行う分割方式です。

 

例えば,相続人が子3人,相続財産が評価額3000万円の土地のみである場合を考えます。

 

法定相続割合に従えば,相続人一人あたりの相続分は金額に換算して1000万円ずつとなります。

 

このとき,相続人の1人が土地全部を取得し,その相続人が他の2人の相続人にそれぞれ1000万円ずつ支払う(これを代償金と呼ぶことがあります)ことで,全員が1000万円ずつ取得したことと同じになります。

 

これが代償分割です。

 

このケースにおいては,土地全部を取得する相続人としては,評価額をできるだけ下げたいという気持ちが働くのが人情です。

 

仮に評価額が2400万円であれば,他の相続人に対して800万円ずつしか支払わなくて済むからです。

 

逆に,代償金を受け取る相続人は,当然評価額を高くしたいと考えます。

 

この折り合いがつかず,調停になることさえあります。

 

経験上,一般的に相続人間で納得しやすい評価額は,都心部であれば市場価格に近い価格,地方の小規模な市町村で買い手が募りにくい場合は相続税評価額や固定資産評価額です。

 

市場価格に近い価格とは,複数の不動産業者へ査定をお願いして出していただいた価格の平均値などです。

 

簡易的には,固定資産評価額を0.7で除するということでも市場価格に近い価格を算出できます。

 

調停になった場合,折り合いがつかないときには不動産鑑定士に鑑定を依頼することもありますが,費用が高額になるので,できるだけ避けたいところではあります。

 

遺産分割は勝ち負けではなく,互譲による調整で進めていくものです。

 

遺産の評価額においては,お互いが何とか認めることのできる中間的価格を,合理的な裏付けを以て示していくということが大切です。

 

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相続時における相続人調査の必要性

今年も例年通りの猛暑となりました。

 

熱中症で体調を悪くされる方もたくさんいらっしゃいます。

 

ブログをご覧いただいている皆様方におきましても,どうかお体をご自愛下さい。

 

弊所は東京駅のすぐ近くにございますが,それでも八重洲北口から徒歩3~4分はかかります。

 

その間を歩くだけでも汗だくになってしまいますね。

 

さて,今回は相続案件で必要な書類のうち,戸籍謄本類に関するお話です。

 

相続のご相談をいただき,実際に受任させていただくと,初めに行うことの一つは相続人の確定です。

 

戸籍謄本類を取り寄せ,亡くなった方の相続人を調べます。

 

亡くなった方の相続人が誰であるのかについては,事実上はわかっている場合が多いです。

 

両親と兄弟だけの核家族で育った方であれば,親御さんが亡くなった際の相続人は,もう片方の親と自分と自分の兄弟だけに決まっていると考えるのは当然です。

 

しかし,戸籍謄本類をもって確認するのには,2つの理由があります。

 

1つは,確実な裏付けを取ることです。

 

万一,親御さんが過去に離婚しており,離婚の相手との間に子がいたりすると,その人も相続人になってしまいます。

 

このことを,被相続人の家族が知らなかったりすると,相続人が漏れてしまいます。

 

遺産分割協議は,相続人が1人でも欠けると成立しませんので,初めの段階で確実に確認しておく必要があります。

 

もう1つは,相続財産調査や手続きにおいて,相続人であることを公的に証明することです。

 

たとえば金融機関で被相続人の預金残高を教えてもらおうと考えた場合,いくら自分が被相続人の相続人であると口頭で伝えても,金融機関側からすると本当のことを言っているかが判断できません。

 

相続人でない方に口座の情報を漏らしてしまったということになれば大変なことになりますので,預金残高の開示には応じられないことになります。

 

そこで,自分が被相続人の相続人であることを公的に証明する書類として戸籍謄本類を示すことで,金融機関側も安心して情報を提供することができます。

 

戸籍謄本類に近しい存在として,法定相続情報一覧図というものがあります。

 

これは,簡単にいうと,公的に証明された家系図のようなものです。

 

戸籍謄本類と申請書等を行政機関に提出することで,発行してもらえます。

 

法定相続情報一覧図は,自分が被相続人の相続人であることを証明できる書類です。

 

従前は,被相続人の残高証明を取得する際など,金融機関等に対して戸籍謄本類の束を提示しなければならなかったところ,法定相続情報一覧図があれば1枚で対応できます。

 

ただし,法定相続情報一覧図を取得するには,戸籍謄本類を全て揃えなければならないので,手間の大きさは変わりません。

 

戸籍謄本類の取り寄せはご自身でも可能です(形式的にはご自身で取得されるのが原則です)。

 

しかし,戸籍の読み方,遡り方などについては,ある程度の知識が必要です。

 

弁護士の場合は,受任した相続案件に必要な範囲内で,戸籍謄本類が取得できます。

 

相続が発生した場合,相続人調査・確定も含め,専門家に依頼するのも手です。

 

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遺言作成の第一歩は財産整理

アクセスいただきありがとうございます。

 

東京近郊を中心とした相続案件を担当している鳥光(とりみつ)と申します。

 

高齢化に伴い,遺言を作成されることをご希望のお客様が増えてきました。

 

(余談ですが,遺言という漢字の読み仮名は,一般的には「ゆいごん」,法律家の業界では「いごん」です)

 

遺言を作ることを考える場合,何から始めればよいでしょうか。

 

遺言とは,端的にいえば「誰」に,「何」を相続させるまたは遺贈するかを記したものです。

 

つまり,「誰」と「何」を確定させなければなりません。

 

このうち,通常は,「誰」の部分は,決めやすいことが多いです。

 

ご相談にお越しいただいた時点で決まっていることもあります。

 

一方,「何」の部分につきましては,調査,整理が必要となることが多いです。

 

もちろん,ご自身の資産を完全に把握され,財産目録を作って管理されている方もいらっしゃいます。

 

しかし,多くの場合,不動産や預貯金,株式などについて,だいたいの部分は把握されていても,正確な番地や,口座情報等まで一目見てわかるという状態にはなっていません。

 

遺言書には,相続または遺贈する財産を正確に記載しなければなりません。

 

そこで,弊所では,固定資産税通知書や,金融機関の通帳,証券会社のレポート等,財産の整理に有用な資料をお持ちいただき,遺言書に記載すべき情報を割り出すということをさせていただいております。

 

遺言作成の第一歩は,財産整理からです。

 

遺言を作りたいけど,財産整理にお悩みであるという方は,ぜひご相談ください。

財産が少ないほど争われるのはなぜか

今回もブログをご覧いただき,ありがとうございます。

 

東京近郊の相続事案を中心に取り扱っている,弁護士の鳥光(とりみつ)と申します。

 

相続は,財産が少ないほど争いになるというお話をよく耳にします。

 

裁判所の統計においても,遺産分割調停が申立てられるケースの半数以上は,相続財産が1億円に満たない場合です。

 

では,財産が少ない場合において,具体的にはどのような争いになるのでしょうか。

 

相続財産が少ない場合,不動産がないか,あったとしても少額のものです。

 

そうすると,相続財産は預貯金等の金融資産が中心となります。

 

預貯金が少ない場合,「もっとあったはず」という思惑が相続人の頭に浮かぶことがあります。

 

特に,相続人の中に被相続人と同居していた人がいると,その相続人に使い込まれたのではないかという疑いに発展します。

 

また,被相続人と同居していた相続人は,他の相続人から見ると,被相続人の財産に関する情報を掴みやすい地位にいます。

 

そのため,他にも預貯金があるのではないか,同居していた相続人が通帳やカードを隠しているのではないか,という話になることもあります。

 

真実はどうあれ,一度このような疑念が生じてしまうと,被相続人が亡くなった時点での預貯金の額を示されても,遺産分割協議は全く前に進みません。

 

このような場合,疑うにしても根拠が必要ですので,遺産分割協議の前提として,まずは相続財産に関する情報を調査・整理する必要があります。

 

具体的には,被相続人の預貯金に関する残高証明,取引履歴を取得し,内容を精査します。

 

その結果,過去の取引に納得性があれば疑いは解消され,遺産分割協議を進めることができます,

 

逆に被相続人の生活に必要と考えられる金額を遥かに超える引出しがあれば,釈明を求める等により,遺産の配分を交渉するということもあります。
(正確には,仮に被相続人の生前に他の相続人が被相続人の許可なく預貯金を使い込んだ場合,不当利得という扱いになります)

 

遺産の分け方を議論する前提としての,相続財産の調査は,遺産分割協議を進めるうえで非常に大切なことです。

 

弁護士は,お仕事等でお忙しい相続人の方々に代わり,金融機関等に対し,相続財産調査をすることができます。

 

まずは相続財産調査についてご相談いただき,具体的に相続財産が判明してから,改めて遺産分割のお話に進めさせていただくという手順をとることもよくあります。

相続で争われる部分

ブログをご覧いただき,ありがとうございます。

 

相続担当の弁護士,鳥光(とりみつ)と申します。

 

相続というと,相続人が争うイメージをお持ちの方もたくさんいらっしゃるかもしれません。

 

では,具体的に相続のどのような場面で争いが発生するのでしょうか。

 

一般的には,遺産の分け方,つまり誰が,何を,どれだけ取得するかという部分で争われることが想定されると思います。

 

たしかに,この部分について争われることも多いです。

 

しかし,遺言がない場合は,法定相続分という法律で定められた拠り所がありますので,特別受益や寄与分が強く争われる場合でなければ,遺産の分け方についての話は割と進めやすいのです。

 

経験上,最も争われ,かつ時間も労力も要することが多い場面は,相続財産の内容の確定です。

 

相続財産の内容の確定は,遺産分割の前提となります。

 

相続財産に,何がどれだけ含まれるのかが確定していない限り,それを誰にどのように分けるかを話すことができないためです。

 

そして,相続財産の内容について,相続人間で争いが全くないというケースは非常に少ないです。

 

多くの場合,以下のような形で,相続財産の内容について争いが生じます。

 

・相続人の一人が,被相続人の財産の情報を頑なに明かさない

・被相続人の預貯金等の金額に納得がいかない(他の相続人が使い込んでいた疑いがある)

・生前,親が不動産を買ったと聞いたことがあるのに権利証が無く,誰かが隠している疑いがある,など

 

このような場合,相続財産の正確な調査をすることが必要となります。
(特に相続税の発生が考えられるケースでは,相続財産がわからないと申告と納税ができないという事態が生じます)

 

相続財産の調査の対象となるのは,ほとんどの場合,不動産と預貯金です。

 

調査は,簡単にできる場合から,かなり時間と労力を要する場合まで,さまざまなケースがあります。

 

弁護士として相続財産調査をするにあたっては,多くの場合,相続人であることを証明する資料として戸籍謄本類や法定相続情報の図を取り寄せることから始めます。

これがないと,行政機関や金融機関に情報を提供してもらうことができないためです。

 

不動産については,固定資産税の通知書の開示が受けられなくても,所在地がわかれば,固定資産評価証明や登記事項の入手は比較的容易にできます。

 

正確な所在がわからなくても,どの市町村にあるかがわかれば,少し時間と手間はかかりますが,調査は可能です。

 

預貯金については,通帳やキャッシュカードの情報を開示してもらえない場合,かなりの時間と手間がかかります。

 

手あたり次第に全ての金融機関を調査するのは現実的ではありません。

 

そこでまず,生前の親の話や,家にあったものなどの情報から,預貯金口座があったであろう金融機関のあたりを付けるところから始めなければなりません。

 

親の住所地の近くに支店がある金融機関なども調査の候補とすることが多いです。

 

その後は,ひたすら各金融機関に対し,預貯金口座の有無,残高証明(ここに口座情報も載ります),取引履歴の発行申請を行います。

 

郵送で受け付けてもらえる金融機関もありますが,そうでない場合には直接窓口まで出向く必要があります。

 

また,郵送で受け付けてもらえるとしても,遠方の金融機関でない限り,私は直接窓口まで行くことが多いです。

 

金融機関は人様のお金を扱う以上,調査の申請についてはとても厳格な審査をしますので,係員の方の面前で書類の内容や添付資料を確認してもらった方が手戻りリスクが少なくなるためです。

 

弊所は東京駅の八重洲側にあり,近辺には各種銀行等金融機関の本店,支店が集中しているため,窓口での問い合わせにも強みがあります。

 

また,弁護士を代理人として申請する場合には委任状が必要になりますが,この委任状についても記載内容を窓口で細かく確認しておけば,後に委任状を書き直すことになる可能性を減らすことができます。

 

預貯金等の調査は,金融機関によって手続きがかなり違いますので,ノウハウが必要となります。

相続放棄の判断基準

ブログにアクセスいただき,ありがとうございます。

 

東京近郊における相続に関する事案を中心に担当している,鳥光(とりみつ)と申します。

 

弁護士として相続関連のご相談を多数受ける中でも,相続放棄に関連する事案が増えています。

 

相続放棄は,一般的には,相続すると損をする場合になされることが多いです。

 

わかりやすい例では,亡くなった親御さんが預貯金も不動産も持っておらず,借金だけがあったという場合です。

特に東京近辺では,他の地域に比べ,ご自宅も賃貸であることがあるので,亡くなった方が不動産を所有していないというケースはままあります。

このような場合,相続してしまうと,何も財産が得られず,自分で借りたわけでもない借金だけを負わされてしまうので,放棄した方がよいということになります。

 

ところが,実際に相続放棄のご相談にいらっしゃる方の状況は少し違います。

 

親御さんの財産状況がほとんどわからない,というケースが一番多いのです。

 

疎遠になっていた親が亡くなったという通知が自治体などから入って,相続が起きたことを知ったような場合,そもそも親の財産のことはほとんどわかりません。

 

ただ,昔,親が多額のお金を借りていたらしいという話を聞いたということから,不安なので相続放棄をしてしまいたいというようなご相談が一番多いです。

 

相続に関する事案に共通して言えることですが,亡くなった方の財産を完全完璧に調べ上げることは非常に困難です。

 

それが疎遠になっていたり,財産に関する情報をほとんど教えていなかった親のことであればなおさらです。

 

本来的には,相続放棄をするかしないかの判断は,被相続人の財産を完全に調べ上げ,負債の方が大きいということがわかってから下すべきです。

 

しかし,相続放棄の申述は被相続人の死亡を知った日から3か月以内に行うのが原則であり,申述期限の延長も無制限に認められているわけではありません。

 

なにより,不安な状態を解消したいというのが,ご相談者の一番のご要望であることもあります。

 

そこで,実際にご相談を聞いてみて,被相続人が不動産などの財産を持っていた形跡がある(たとえば固定資産税の通知書があったなど)のであれば,時間の許す限り調べ,そうでなければ放棄を検討しましょうというお話をすることが多いです。

相続と相続税

幣ブログをご覧いただき,ありがとうございます。

 

弁護士法人心で相続に関する事案を中心に担当している,鳥光(とりみつ)と申します。

 

日頃,相続に関するお悩みについて,ご相談をいただく機会が多々ございます。

 

相続と一言で申しましても,法的にはさまざまな要素を含んでいるケースの方が多いです。

 

たとえば,遺産分割のご相談であっても,親の預貯金を他の相続人が使い込んでいたという事案であれば,法的には不当利得という問題になります。

亡くなった方が誰かにお金を貸していたのであれば,法的には貸金債権が相続財産となりますので,貸付先にお金を返して欲しいという請求をするということがあります。

 

その中でも,相続のお話と密接に関係するのが,相続税です。

 

大まかに申しますと,遺産分割は民法に基づいて検討し,相続税に関することは相続税法に基づいて検討しますので,両者は法的には別物です。

 

しかしながら,ある程度大きな相続財産がある場合,遺産分割と並行して,相続税が発生するのか,発生するとしたらいつまでに申告しなければならないのか,軽減する方法はないのか,納税資金は用意できるのかなど,様々なことを考慮しなければなりません。

 

弁護士としてはあくまでも遺産分割の事件として受任していたとしても,相続税のことを考慮に入れないというわけにはいかないのです。

 

申告期限までに分割協議を終えないと,相続財産の預貯金の払い戻しができず納税資金が確保できない,一旦は未分割申告をせざるを得ないなど,相続人の方に不利益が生じてしまうからです。

 

場合によっては税理士の先生と一緒に,お客様にとってベストな方法を検討するということもあります。

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