空き家活用の話7

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弁護士・税理士の鳥光でございます。

 

所有者不明土地管理制度及び所有者不明建物管理制度が、2023年(令和5年)4月1日より開始(施行)されました。

 

所有者不明土地管理制度は所有者不明となっている不動産について裁判所が管理人を選任する制度です。

 

裁判所のWebサイトにも、所有者不明土地(建物)管理命令の申立て等に関する書式が用意されています。

 

https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/vcmsFolder_1958/vcms_1958.html

 

所有者不明土地管理制度は、従来の相続財産管理(清算)制度や、不在者財産管理制度と異なり、「不動産単位」で管理を行うことが可能です。

 

現行の制度では対象となる人(不在者や被相続人)の全財産を管理することになるのに対し、所有者不明土地管理制度は特定の不動産のみを管理することができます。

 

申立ては、利害関係人および地方公共団体の長等とされています。

 

裁判所が申立てに基づいて選任した管理人には、管理対象の不動産と当該不動産にある動産の管理権限が与えられます。

 
そして、管理人は、管理対象の不動産の管理だけでなく、裁判所の許可を得て不動産の売却、建物の取り壊しなどの処分もできます。

 
不動産を不法に占拠する者がいた場合の明け渡し請求なども行えます。

 

もっとも、管理人が選任されるまでの審査の基準は、相続財産管理人(清算人)の選任の申立てに比べると、厳格なものであろうことが想定されます。

 

裁判所が用意している申立書等の書式を見ても、所有者の調査状況等についての報告書等の添付が必要であることからも明らかです。

 

相続財産管理人(清算人)の選任のときとは異なり、理論上は土地建物の所有者が存在しています。

 

その土地建物について、所有者以外の者に売却や取壊しの権限を与えるというのは、所有者に対する大きな権利制限を伴うことから、管理人選任のための審査が厳格になるのは当然のことでもあります。