【受験シリーズ】11 純粋未修者

令和3年も5月になりました。

 

暖かくなってきたので、コロナウィルス感染も減っていくことを祈ります。

 

弁護士法人心の鳥光でございます。

 

今回は、受験シリーズ第11回目です。

 

1 純粋未修者
ロースクールにおける造語(スラング)の一つに、純粋未修者という言葉があります。

これは、ロースクールの未修者コース(3年間)に入学し、法学部出身ではない人のことを指します。

前提として、ロースクールには大きく2つのコースがあります。

1つは、法律を勉強したことがない人(未修者)向けのコースです。

3年間のカリキュラムで修了となります。

もう1つは、法学部などで法律を勉強した人(既修者)向けのコースです。

2年間のカリキュラムで修了となり、入学試験に合格しないと入れません。

本来的には、未修者向けコースは、法学部出身者ではない人を想定したコースです。

しかし、現実には、法学者出身の人がたくさんいます。

少なくとも、私が入学したときはそうでした。

そのため、未修者向けコースの中でも、法学部出身者でない人のことを、法学部出身者と分ける趣旨で、「純粋」未修者と呼ぶことがあります。

私は理工学部出身で、法律とは関係のない仕事をしたのちにロースクールへ入学しましたので、純粋未修者でした。

 

2 純粋未修者には厳しい現実
純粋未修者は、法律に関するバックグラウンドが全くありません。

既修者や、法学部出身の未修者と比べ、スタートラインで大きく出遅れる形となります。

法律の知識だけでなく、答案作成経験や、点取りテクニックなど、あらゆる面で差があります。

ロースクールは基本的に相対評価であり、ロースクールによっては相対的成績下位者を留年させることもありますので、純粋未修者は進級すら危ぶまれることになります。

3年で無事修了できる純粋未修者は、入学時の半分以下になることもあります。

 

3 それでも合格できる
私は純粋未修者ですが、何とか1回で司法試験に合格することができました。

純粋未修者であるだけでなく、受験時には30代後半であり、体力も思考力も、大半の受験生よりも劣っていました。

もともとの学力がずば抜けて高いわけでもありません。

本来、司法制度改革は、法律以外の分野出身の人材を法曹界に増やそうという狙いがありました。

純粋未修者が司法試験に合格できないどころか、受験に至ることすらできない現実を、私は変えたいと思っています。

【受験シリーズ】10 趣旨と規範

令和3年も5月に入りました。

 

昨年の5月は、初の緊急事態宣言が出され、外出者が非常に少ないという、異例の光景が見られました。

 

今年も、再度コロナウィルスの影響が強まっていますので、日ごろから気を付けたいものです。

 

弁護士法人心の鳥光でございます。

 

今回は受験シリーズの10回目です。

 

1 納得と記憶
司法試験においては、考え方や理解が非常に大切といわれます。

もちろん、それはその通りです。

一方で、やはり覚えなければどうにもならないものもあります。

規範は、その最たるものの一つであると考えられます。

問題は、覚え方にあると考えられます。

判例規範や、論証パターンを、文字列として暗記をするのは、目の前の点数を取得しなければならない状況下においては、応急処置としては良いかもしれません。

しかし、応用が利きませんし、記憶が長続きしません。

人間の記憶は、納得が得られたとき、長期記憶として残るといわれています。

納得と理解は、この場面においてはほぼ同義です。

では、同じことを覚えるとしても、納得を得て覚えるためにはどうすればよいのでしょうか。

 

2 趣旨と規範
条文や条文上の単語の解釈について、納得を得るためには、趣旨を読むことです。

ある条文が、何のために生み出されたのかを知ることで、単語の解釈の仕方にも納得がいきます。

納得さえすれば、忘れにくくなるので、試験本番でも自然に引き出すことができるようになります。

そして、趣旨は、規範ともつながってきます。

規範は、趣旨からさかのぼって生み出されることが多いためです。

条文の趣旨を知っていれば、(一字一句正確にではないにせよ)規範を思い出すことがしやすくなります。

意味も分からず、無理矢理文字列として覚えた規範を捻りだすのとは、根本的に違います。

時には、判例のパターンから、少しずらした事案が出題されることもあります。

このような場合こそ、趣旨からさかのぼって、判例規範に応用を加えるということもできるようになります。

【受験シリーズ】9 厳選と繰り返し

令和3年も3月になりました。

 

年度末なので、とても忙しい方もいらっしゃるかと思います。

 

弁護士法人心の鳥光でございます。

 

受験シリーズの9回目です。

 

今回は、ロースクール等で、一通り全分野の講義が終了した後の、司法試験に向けた勉強法についてです。

 

1 司法試験の性質
司法試験は、筆記試験です。

 

筆記試験は、極論すれば、本番の場において、答案用紙に、採点者が〇をつける文字の列を書くことができれば受かります。

 

観点を変えると、いくら法律論を理解していても、いくら規範や定義を知っていても、本番において、答案用紙に書くべきことを書くことができなければ合格することはできません。

 

また、司法試験は時間が非常に限定されています。

 

必須科目は、1科目あたり2時間です。

 

2時間以内に事案を読んで理解し、答案構成をして、答案を書く必要があります。

 

通常、答案用紙5~8枚程度書くことが求められます。

 

つまり、正確さと速さの両方がなければ点数を取ることができません。

 

2 厳選と繰り返し
速く正確なアウトプットをするためには、身体に覚えさせるほかありません。

 

規範やフレーズを無意識有能化させる必要があります。

 

そのためには、何度も繰り返し書いたり読んだりする必要があります。

 

他方、司法試験本番までに勉強に費やすことができる時間は限られています。

 

そこで、何を繰り返し練習するか、厳選しなければなりません。

 

3 繰り返し練習の対象
最優先で練習するべき対象は、言葉の定義と、判例規範です。

 

これを出すべき場面で、速く正確に書くことができるかどうかで、点数は大幅に違ってきます。

 

たとえば、民事訴訟法は、言葉の定義を基本書や受験予備校の教材から抜き出して、ひたすら何度も読み書きします。

 

刑法や刑事訴訟法であれば、判例百選に掲載されている判例の規範を何度もノートに書き写したり、隙間時間で繰り返し読むことで、自然にアウトプットができるようになります。

【受験シリーズ】8 成功者のマネ

令和3年3月になりました。

 

弁護士法人心の鳥光でございます。

 

今回は受験シリーズの8回目です。

 

司法試験の勉強をするにあたって、私が実践していた考え方と勉強法について紹介いたします。

 

1 成功者のマネをすることが基本
司法試験に限らず、ビジネスの世界でも重要視されている鉄則として、「成功者のマネ」をするという考えがあります。

 

まずは、外観からわかる形のマネから入ります。

 

形をしっかりマネをすることを続けているうちに、その背景にある考え方を理解することができ、自分の能力も上がっていくという流れになります。

 

2 司法試験の勉強においての「マネ」
では、司法試験の勉強においては、実際には何をすればよいのでしょうか。

 

まず、司法試験における成功者とは、超上位合格者です。

 

具体的には、各分野において、一桁の順位の得点をとった人です。

 

超上位合格者の再現答案は、受験予備校が出版している過去問集に掲載されています。

 

私は、一通り司法試験の範囲の講義が終了した時点から、これら超上位合格者の再現答案をひたすら写経していた時期がありました。

 

朝から晩まで10時間くらい書き続けていました。

 

一見バカなやり方に見えるかもしれません。

 

私も初めは辛いだけでした。

 

ところが、1週間くらい続けると、超上位合格者の考え方が理解できてきます。

 

なぜ今回の事案においてこのような問題提起をするのか、なぜこのタイミングでこの規範を出すのか、なぜこの事実を指摘するのか、なぜこの順序で論証するのか、ということを身体で覚えることができるのです。

 

その結果、一回で合格することができました。

 

3 写経はほかの場面でも使える
私は民事訴訟法が非常に苦手でした。

 

民事訴訟法は、用語の定義を理解することが非常に重要な科目です。

 

そこで、基本書や、受験予備校の教材から、用語の定義をひたすら抜き出してノートに書き続けることをしました。

 

これを行うことで、模試や本番でも、定義をスラスラと書くことができるようになり、A評価で合格することができました。

【受験シリーズ】7 勉強方法は本当に人によりけり

今年も終わりに近づきました。

 

今年は年が始まってすぐにコロナウィルスが流行り,対応に追われる事態に陥った方も多かったかと思います。

 

来年のことを完全に予想することは誰にもできませんが,今年のようなことがないことを祈ります。

 

弁護士法人心の鳥光でございます。

 

受験シリーズの7回目です。

 

今回は司法試験の勉強方法についてです。

 

突き詰めれば,勉強方法は全員がオリジナルになります。

 

もっとも,自分が正しいと思う勉強方法を考えるうえで,根拠となる合理的な考え方は持っておくべきです。

 

今回は,ゼミを組むか否か,書いて勉強するか読んで勉強するかという観点から,私の実例と考え方を紹介します。

 

1 他のロースクール生とゼミを組むか否か
これは,意見が分かれるところです。

一方で,司法試験に受かったわけでもない人たちで議論しても正解にたどり着かない(かえって混乱する)という考えもあれば,他方で,答案作成のペースメーカーとしては価値が大きいと考えることもできます。

また,複数のゼミを組む人もいれば,1つか2つという人もいます。

私は1つだけゼミを組んで,過去問の答案作成を中心に行っていました。

答案作成のペースメーカーとしてという側面が一番大きかったです。

また,私以外は成績上位者でしたので,間違ったことを議論するリスクを回避できました。
(上記のゼミは,全員1回で合格し,半数は2桁台の順位で合格しました)

ゼミを1つだけにしていたのは,単に複数ゼミを組むと体力がもたなかったからです。

補足しますと,ゼミを組む場合,他人と一緒に勉強を行う以上,続けられるか否かは,メンバーの能力よりも価値観や考え方が合うか否かも大きく影響します。

 

2 書いて勉強するか読んで勉強するか
感覚的には,とにかく答案を書け,という考えの方が多数派である印象があります。

私自身,書くことの方を重視していました。

最終的なアウトプットとなる答案は,書いて作るものだからです。
もっとも,書くにはある程度まとまった時間や設備(机やイスなど)が必要となります。

そのため,書く場面と,読む場面を分けていました。

ロースクールや家にいるときは書くことを中心とし,それ以外の場面では読むことを中心としていました。

そして,移動やスキマ時間に読めるようにするため,資料(判例集など)は常に携帯していました。

 

3 その他,私の場合
後日詳細を述べますが,私の当時の勉強に対する考えの根底には,成功している人のマネをするという考え方がありました。

司法試験という土俵で成功している人とは,超上位合格者(順位1桁から十数位合格レベル)です。

そこで,極端なやり方ではありますが,ロースクールの講義がすべて終了してから司法試験本番までの3か月間,超上位合格者の再現答案をひたすら写経していた時期がありました。

写経は究極のマネです。

人にもよるかもしれませんが,正しい形から入ることで,思考・理解が後から付いてきました。

特に民事訴訟法については,2月まではロースクールの定期試験で落第スレスレだったところ,直前模試でA判定,5月の本番でもA判定という結果が残せました。

【受験シリーズ】6 ロースクールの講義とのバランス

12月になりました。

 

今年はコロナウィルスの流行という特殊な出来事があり,日常生活においても,経済活動においても,これまでとは全く違った対応を求められる1年でした。

 

弁護士法人心の鳥光でございます。

 

今回は受験シリーズの6回目です。

 

ロースクールに通っている場合,当然ですが必修の講義がたくさんあります。

 

通常,出欠の確認も厳格に行われ,出席日数が足りないと大幅に減点されたり,定期試験の受験資格自体を失うということもあります。

 

そして,予習課題なども多く,答えられないと減点され,これが原因で落第・留年につながるケースもあるため,講義の準備に多くの時間を費やす必要があります。

 

そこで,私がどのようにしてロースクールの講義と司法試験で得点を取る訓練を両立していたか,概要を紹介します。

 

1 物理的に出席することは必須
出席とは,講義が行われる教室に,物理的に自分の身体を置き,名前を呼ばれた時に返事をすることです。

 

これにより出席日数がカウントされます。

 

出席日数という数字が足りなければ,定期試験が受けられなくなることがあり,ロースクールを終了できず,結果として司法試験の受験ができません。

 

この観点から,出席日数という数字を作ることは極めて重要です。

 

2 自分が回答する部分を予測して用意しておく
講義は,教授や講師が生徒をあて,あてられた生徒が回答するという形式のものが多いです。

 

完全にランダムであてることもありますが,多くの場合,席の順や学籍番号順など,一定の法則に従ってあてられます。

 

そのため,いつ,どの課題について自分があたるかを予測し,自分があたる回の課題は重点的に準備しておき,それ以外の期間は答案練習や短答式試験の練習を重点的に行うという切り替えをすることで,講義対策と司法試験で点数を取る訓練の両立ができます。

 

3 未修1年生の時は講義に徹する
未修1年,特に法学部卒でない未修者は,どのみち何もわかっていないため,1年目は講義の予習復習に徹した方が良いかもしれません。

 

私自身そうしていました(というより,それで精一杯でした)。

 

法律用語の定義や,重要判例の中でも誰でも知っているべきものを中心に扱うので,ここを固めておくことは2年目以降に活きてきます。

 

法学部を卒業した人曰く,未修1年の講義は,学部であれば3年かけて行うことを1年で詰め込んでいるとのことですので,2年目以降に合流する既修者と渡り合うためにも,未修1年の基礎固めは重要です。

【受験シリーズ】5 教材は絞る

11月となりました。

 

今年もあと2か月程度となり,忙しくなってきた方もいらっしゃるかと思います。

 

弁護士法人心の鳥光でございます。

 

9月からスタートした受験シリーズの5回目です。

 

今回は,司法試験の勉強のための教材の選び方についてです。

 

決まった選び方はありませんが,教材は絞ることが鉄則であると考えております。

 

司法試験の受験生をしていると,様々な教材を目にして,誘惑にかられます。

 

この本の方が良いのではないか,あっちの問題集は誰かが良いといっていた,という思考が働き,ちゃんと読みもしないうちに別の本を買うというパターンに陥ることがあります。

 

結局何も身に付かず,時間だけがなくなります。

 

そのような事態を防ぐためには,全ての科目において,次の4種類の本のみを持ち,繰り返し読むことをお勧めします。

 

1 定番で信頼性のある基本書
2 判例集
3 受験予備校が販売している,条文の趣旨等が纏められた本
4 過去問題集

 

読む教材に信頼性があることを前提にすると,たとえば3種類の基本書をそれぞれ読むより,1つの基本書を3回読んだ方が,確実に早く,そして深く理解できます。

 

判例についても,もちろん原文を読むことは大切かもしれませんが,それよりも先に,百選等の判例集を10週読んで脳に焼き付かせることの方が必要です。

 

純粋未修だった人で,3年間ルーティンワークとして判例百選を読み続け,短答式で50位台の成績を取った人もいます。

 

単に司法試験に受かるというのであれば,定番の基本書と判例に載っている以上の知識は必要ありません。

 

逆に,定番の基本書,判例の知識を間違いなく引き出せることが極めて重要です。

 

そこで,過去問を繰り返し解き,かつコンパクトに論点がまとめられた受験予備校の教材を使用し,基本書・判例集の規範,論証をスムーズにアウトプットする練習をします。

 

他の教材に手を出すのは,その後で十分です。

【受験シリーズ】4 優先順位

11月になりました。

 

寒さも本格化していくと考えられます。

 

また,これからはインフルエンザも流行りだす可能性がありますので,対策を十分にしましょう。

 

弁護士法人心の鳥光でございます。

 

今回は受験シリーズの4回目です。

 

司法試験に向けた勉強をするうえで,小職が重視し,軸を置いていたことを,学習の対象,勉強方法,答案作成の3つの観点で照会します。

 

1 学習の対象
判例最優先を最優先して勉強していました。

ロースクールの教授も,敢えて学説には触れずに,判例のみを扱うスタイルである方が多かったことから,司法試験の問題に対しては判例に従って解答するのが筋であると考えていたためです。

学説については,規範として広く使われている例外的なものを除き,後回しにしていました。

下手に学説に手を出してしまうと,かえってわからなくなってしまう可能性もありましたし,何より小職は判例を学習するので精いっぱいで学説を勉強する余裕はありませんでした。

 

2 勉強法
とにかく書くことにしていました。

答案も作れるだけ作っていましたし,判例の規範等答案で使えそうなものを見つけた時もノートに書き写していました。

後日詳しく述べますが,読むと書くとでは記憶への残り方も違いますし,書くことで理解が進みます。

また,こうして作り溜めたノートを本番前などに使用していました。

 

3 答案作成
点数の取れる解答を書けるようになること以前に,書くスピードと腕のスタミナを確保することを重視していました。

頭でわかっていても,答案としてアウトプットできずに,採点者に対して表現できなかったならば何の意味もないためです。

上記2の勉強法により,速度を保ったまま答案を書き続けられる状態をキープするすることができます。

加えて,ある程度信頼性のあるグレードの万年筆を購入して使用していました。

万年筆はボールペンと違って紙との抵抗が少なく,構造的に文字を書くスピードを上げることができます。

また,いつも同じ万年筆で書いていると,万年筆のペン先が自分の書き方に合わせて摩耗し,より書きやすくなっていきます。

【受験シリーズ】3 勉強以外の努力

10月に入り,だんだんと寒さも深まっていくかと思います。

 

感覚的なものですが,昔に比べ,1年間の寒暖差が大きくなった気もします。

 

弁護士法人心の鳥光でございます。

 

9月からスタートした受験シリーズの3回目です。

 

今回は,司法試験に受かるために,勉強以外の部分で採った戦略についてです。

 

まず,ロースクールに入学した当時の私は,以下のディスアドバンテージがありました。

 

1 理工学部出身かつ法律に関係のない仕事をしていたため,法律に関する馴染みすらない

2 当時30代で,他の受験生(大半が20代)と比べ,体力,記憶力,思考力が劣る

 

1は本当に大きなハンデとなります。

特に,2年次に入学してくる法学既修者の方々は,法律の勉強に加え,学部時代から試験で点数を取る訓練を積んできている人も多いので,二重に不利となります。

 

2についても,20代の人と同じペースで勉強してしまった結果,高熱を出したり,下痢が止まらなくなるなど,体調を崩すことが多々ありました。

 

このような状況でしたので,周りと同じことをしていても試験に受かることはできないと考えていました。

 

試験の勉強をすることは当然ではありましたが,それ以外の部分でアドバンテージを作っていくことにも重点を置いていました。

 

具体的には次のことを行いました。

 

・試験会場の近くに住む
試験当日,住み慣れた環境から,徒歩で試験会場まで行けることは,精神面において大きなアドバンテージになったと考えています。

 

仮に試験会場の近くにホテルを手配すると,普段と環境が変わるので,不安は増大したと思いますし,試験会場まで交通機関を使うとなると,事故やトラブルに巻き込まれる不安を抱えなければなりません。

 

試験会場の近くに住むことを実践していた人は少ないと思いますので,相対的にも効果は大きかったと思います。

 

 

・自分の判断で使えるお金を惜しまない
幸い,他の受験生に比べ,自分の名義の口座に入っているお金は,非常に多かったと思います。

 

そのため,誰(親等)とも交渉することなく,独断・即決で数十万円する受験予備校の答案練習の申し込みを行うということもできました。

 

上記の,試験会場の近くに住むことも,ある意味自分の判断だけで年100万円近い金銭(家賃)を使ったと考えることができます。

 

 

・世代差を利用し,人間関係を深めすぎない
他のロースクールの生徒の大半が20代なので,私は一回り上の年代でした。

 

そのため,特に意識しなくとも,深い人間関係はできあがりませんでした。

 

一般論として,ロースクールは割と閉鎖的な世界なので,良くも悪くも人間関係が濃厚になり,時に人間関係のトラブルに発展してしまうことがあります。

 

こうなってしまうと,何らかの形で試験勉強にも悪影響が出てしまいますので,人間関係を深めすぎないことも大切だと考えております。

【受験シリーズ】2 司法試験受験のための資金繰り

10月になりました。

 

これからは寒さも増していくかと思います。

 

気温の変化には気を付けましょう。

 

9月からスタートした受験シリーズ2回目です。

 

今回は,司法試験受験のための資金繰りについてです。

 

私は,理工系の学部出身で,就職後8年間,法律とは関係のない仕事に就いていました。

 

その後仕事を辞め,生活費を含め自費で3年間ロースクールに通い,司法試験を受験して弁護士になりました。

 

これを実現するためには,お金に関する話題を避けて通ることはできません。

 

まず,働きながらロースクールに通うことは困難ですので,多くの場合仕事を辞めることになります。

 

そのため,収入がなくなります(不労所得を持っている人は別ですが)。

 

また,私はロースクールに通うための借金はしないことにしていました(非常用に無利息の奨学金を借りていましたが,全く手を付けておりません)。

 

そうすると,仕事をしている期間にお金を貯め,かつ仕事を辞めた後は出費を抑えるしかありません。

 

以下,私のお金のため方と,出費のコントロールについて紹介します。

 

1 お金のため方
私は仕事を辞めた時点で,退職金を含め1200万円の貯金がありました。

 

これがなかったら,自費で生活費とロースクールの学費を賄うことはできませんでした。

 

前職時代,特に意識して貯めていたのではないのですが,結果論としては,次の要素が貯蓄に貢献していたのだと思います。

 

・家を買っていなかったこと
・車を買っていなかったこと
・付き合いの飲み食いをほとんどしなかったこと
・旅行をほとんどしなかったこと

 

これを守っていれば,自然とお金がたまることが多いと考えられます。

 

実家が会社の通勤圏内であったのですが,会社の近くにマンションを借りて住んでいたので,もし実家から通っていたら,もっと預貯金は多かったと思います。

(ただし,実家からは1時間30分以上満員電車に乗るので,健康を維持できなかった可能性はあります)

 

 

2 無駄な出費は抑え,かけるべきお金はかける
ロースクールに通っている最中は,いわゆる無駄遣いはほとんどしませんでした。

 

毎週のように飲み食いしたり,夏休みや春休みに海外旅行に行ったり,衣類を衝動買いしたりということは全くしませんでした。

 

他方,かけるべきところにはお金をかけました。

 

まず,敢えて実家に戻らず,受験会場の近くで一人暮らしをしていました。

 

これは,試験本番で大きなアドバンテージになりました。

 

そのため,家賃には相当お金をかけました。

 

勉強に使う教材は,最新版を新品で買いました。

 

食事も,外食が中心でしたが,しっかりしたものを摂っていました。

 

また,受験予備校の答案練習も受講しました。

 

司法試験受験に限ったことではありませんが,まとまった種銭を作るということは,新しいことを始めるためには非常に重要であると考えております。

【受験シリーズ】1 イントロダクション

今年は,コロナウィルスが様々な場面に影響を及ぼしています。

 

弁護士の大半がかつて受験した,司法試験の日程も延期されました。

 

司法試験に関するセンセーショナルな話題が持ち上がったことを機に,受験生時代の私がどのような勉強をしていたかを,順次紹介していきたいと思います。

 

それというのも,私は法曹全体の中においては,客観的に見て相当程度少数派に属していると思います。

 

私は理工学部出身で,もともと物質・材料の研究者を目指していました。

 

諸事情により研究者になることをあきらめ,理工系の大学院修了後,民間企業に就職して8年間,法律との関係は希薄な仕事をしておりました。

 

その後,仕事を辞めてロースクールに入り,司法試験を受験して弁護士になったという経緯があります。

 

そして,ロースクール生であった頃の私は,相対的に以下のようなハンデを背負っていました。

・法学部出身でなく,法律に対する馴染みが全くない(俗に「純粋未修者」と呼ばれます)

・他の受験生と比べて年齢が高く,相対的に体力,記憶力,思考力が劣る(大半が20代であったが,私は30代)

・生活費含めすべての費用を自分の貯金で賄っているため,資金的余裕が少ない

 

このような3重苦の条件下においても,1回で司法試験に合格することができました。

 

次回以降,仕事を辞めてロースクールに通うための資金の作り方から,実際に司法試験を受験するまでのことを紹介していきます。