相続税6

今回も本ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

 

弁護士・税理士の鳥光でございます。

 

今回は、相続税申告準備における土地の評価についてです。

 

土地の評価は、相続財産の評価の中でも、相当難解な部類に入ります。

 

相続税関連の書籍の中には、土地の評価に特化した書籍もあるくらいです。

 

そのため、ここでは土地の評価の概要について説明します。

 

相続税の申告の際の土地の評価は、大きく分けて、路線価による評価と、倍率による評価があります。

 

まず、国税庁が公開している、評価対象の土地を含む路線価図を参照し、評価対象の土地が路線価が設定されている地域に存在するのか、倍率地域に存在するのかを調べます。

 

路線価が設定されている場合、路線価(1㎡あたりの単価)に、評価対象の土地の面積を乗じて算出した金額が、評価額の基礎となります。

 

この金額に、土地の計上に応じて、間口狭小補正、奥行価格補正、不整形地補正などを施し、評価していきます。

 

また、土地を貸し付けている場合には、路線価図に記載された借地権割合を控除します。

 

倍率地域の場合、固定資産評価額に対して、倍率表に記載された倍率を乗じた金額が評価額になります。

単純に掛け合わせる数字(倍率)が記載されている場合は、簡単に計算ができますが、宅地比準方式という計算方法が記載されていることがあります。

 

これは、対象の土地の1㎡あたりの近傍宅地価格を計算の基礎とするものです。

 

近傍宅地価格は、自治体によっては、固定資産評価証明書の発行の際に申請することで開示してくれます。

 

しかし、開示していない自治体もあります。

 

そのような場合には、自治体の担当部署へ電話連絡をし、近傍宅地価格をヒアリングすることもあります。

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相続税5

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今回は、相続税申告準備における、建物の評価についてです。

 

被相続人が建物を所有していた場合、建物は相続財産となります。

 

建物の評価は、相続開始日の属する年度の固定資産評価額が基本となります。

 

固定資産評価額は、固定資産税納税通知書を参照するか、固定資産評価額証明書または名寄帳を取得することで調査可能です。

 

建物が、被相続人の自宅など、自用のものである場合には、固定資産評価額が相続税評価額となります。

 

建物が賃貸物件であり、実際に借家人がいる場合には、固定資産評価額をもとに以下の計算式によって評価額を計算します。

 

建物の固定資産税評価額 × (1 - 借家権割合 × 賃貸割合)

 

賃貸割合は入居率(正確には詳細な計算が必要です)、借家権割合は30%とされています。

 

貸家は、賃貸人側の権利の制約が大きいことから、評価額を下げることができます。

 

被相続人が賃貸物件を所有している場合には、もう一点考慮すべき事項があります。

 

特に一棟のマンションやアパートを所有している場合に多いのですが、付属の施設・設備の評価です。

 

駐車場や、マンションの設備については、固定資産評価証明書等には反映されないことがあります。

 

この場合には、被相続人の過去の確定申告書等を調査し、取得価額、償却額等を計算する必要があります。

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相続税4

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今回は現金の評価についてです。

 

被相続人が死亡時点で所持していた現金も、相続財産として申告が必要です(現金の金額が、そのまま評価額になります)。

 

被相続人の現金については、大まかに3つのパターンがありますので、それぞれの対応方針を説明します。

 

 

1 被相続人が所持していた現金が、数万円程度であった場合

被相続人の財布等にのみ現金がある場合などは、このケースに該当することが多いです。

自宅の中に手許現金がある場合も、相続財産として計上します。

 

被相続人の生活の面倒を見ていた相続人が、小口の生活費を預かって管理していた場合にも、相続財産として計上します。

 

 

2 被相続人死亡直前に預貯金を引き出した場合

被相続人の死期が迫った際、死亡直後に発生する葬儀費等を賄うために、予め金銭を銀行等から引き出すことがあります。

 

主な使用目的が葬儀であることから、引き出す金額も数十万円~数百万円であることがあります。

 

これは、被相続人の現金として相続財産に含まれます。

 

葬儀費等に使用したとしても、相続開始時点での現金の金額を、相続税申告の際には計上します(葬儀費は、別途債務として控除できます)。

 

 

3 多額の現金がある場合

被相続人の中には、金銭を預貯金の形ではなく、現金で所持したいと考えている方もいます。

 

また、資産家であった被相続人などにおいては、金融機関と関係が悪くなり、多額の預貯金をすべて引き出して口座を解約してしまうこともあります。

 

このような場合、金庫などに数百万~数千万円の現金が存在するということがあります。

 

多額の現金が存在する場合には、相続税申告の際に、計算の根拠を説明する書面を添付することもあります(いわゆる33条の2書面)。

 

現金は秘匿性が高く、多額である場合は税務署の調査の対象となりやすいためです。

 

そのため、金融機関から引き出した金銭の合計額から、生活や事業等で使用したであろう金額を差し引き、相続開始時点での所持金額が合理的なものである旨の説明をします。

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相続税3

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今回は、相続税申告準備における、預貯金の取り扱いについてです。

 

普通預金と、定期預金に分けて説明します。

 

まず、普通預金についてです。

 

普通預金は、相続開始時の残高が、そのまま相続財産の評価額となります。

 

普通預金の相続開始時の残高は、被相続人の通帳を見るか、相続開始時の残高証明書を取得して調べます。

 

もっとも、普通預金を調査する際は、通帳を参照した方が良いです。

 

通帳がない場合には、取引履歴を取得します。

 

その理由は、普通預金通帳には、相続開始時点の預貯金の金額のほか、債権、債務、過去の贈与の情報等が反映されていることがあるためです。

 

また、次回説明しますが、相続財産の中に現金が多く含まれる場合には、その出所を説明するために通帳の履歴を参照するが多くあります。

 

被相続人の預貯金の情報は、相続開始時点の預貯金額だけでなく、他の情報を調査するためにも有用なのです。

 

次に、定期預金についてです。

 

定期預金の残高も、通帳を見るか、残高証明書を取り寄せることで調査ができます。

 

しかし、定期預金には、普通預金には無い、考慮すべき要素があります。

 

それは、既経過利息です。

 

被相続人の生前に利息が支払われてから、次の利息が支払われるまでの間に被相続人が死亡した場合、死亡日までの間に発生していた利息(既経過利息)も相続財産になります。

 

既経過利息は、定期預金の残高証明書を取得した際に反映されていることもあります。

 

しかし、金融機関によっては、残高証明書とは別に既経過利息計算書というものの書面取得申請をしないと取得できないことがありますので、注意が必要です。

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相続税2

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弁護士・税理士の鳥光でございます。

 

前回、相続税の基礎控除額のお話をしました。

 

相続財産の評価額が基礎控除額を超えるか否かは、相続税申告が必要であるか否かを判断するうえで、とても重要です。

 

もっとも、相続財産の評価は、単純ではないものもあります。

 

預貯金や現金は、金額がそのまま評価額になりますので、仮に相続財産の大半が預貯金・現金であれば、専門家でなくても評価は難しくありません。

 

不動産については、建物は原則として固定資産評価額となりますので、固定資産評価証明書を取り寄せて参照すれば、評価ができます(収益用マンションなどを持っている場合は、設備等の償却資産が固定資産評価証明書に反映されないこともあるので注意が必要です)。

 

土地の評価は、とても難解です。

 

まず、路線価地域であるか倍率地域であるかで、評価方法が異なります。

 

倍率地域にある場合、原則としては倍率表という表を用いて計算します。

 

路線価地域の場合、路線価と地積を乗じたうえで、各種の補正計算をします。

 

土地が旗竿状であったり、公道に面していないような場合の計算は、さらに複雑になります。

 

株式、投資信託等についても、相続税評価の際には、特有の計算が必要になります。

 

さらに見落としがちなのは、健康保険料等の還付金です。

 

これらは被相続人の債権であることから、相続財産になります。

 

被相続人の相続財産の評価額が、明らかに1000万円にも満たない見通しである場合は、それほど気にすることはありませんが、基礎控除額を超えるか否かが微妙なケースもあります。

 

このような場合、専門家によるシミュレーションを行うことをお勧めします。

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相続税1

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弁護士の鳥光でございます。

 

渡しは税理士としても活動しております。

 

弁護士としては、相続をメインの分野のひとつとして活動しています。

 

そして、相続と、相続税とは、とても密接な関係にあります。

 

一定の評価額以上の相続財産が存在する場合、相続税申告が必要になります。

 

相続財産の取得の仕方により、相続税の金額が変わることもあります。

 

また、相続税申告期限までに遺産分割協議が終了しない場合、一旦未分割申告をするという措置が必要になります。

 

相続が発生した場合、相続税の申告・納税が必要であるか否かは、相続人にとってはとても重要なことです。

 

相続税申告・納税の要否を考えるうえで、一番初めに検討すべきことは、相続財産の評価額(正確には、ここから相続債務、葬儀費等を控除した金額)が、基礎控除額を超えているか否か、です。

 

相続財産の評価額が基礎控除を下回っていれば、相続税申告は不要です。

 
平成27年1月1日以降の基礎控除額は、次のとおりです。

 

3000万円+(600万円×法定相続人の数)

 

相続人が3名であれば、4800万円が基礎控除額となります。

 

基礎控除額は、平成26年12月31日以前は、次のとおりでした。

 

5000万円+(1000万円×法定相続人の数)

 

相続人が3名であれば、8000万円が基礎控除額となります。

 

平成26年12月31日以前に相続を経験されている方の中には、基礎控除額が変更されたことをご存じないこともありますので、注意が必要です。

 

前回の相続の際に相続税申告が必要なかったため、今回も必要ないであろう、と考えてしまうと、申告期限を渡過してしまう危険性があります。

 

これを防止するためには、相続が発生したら、一旦は相続税申告が必要か否かを、専門家に相談することをお勧めします。

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相続財産管理人日誌27

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弁護士の鳥光でございます。

 

相続財産管理人についての27回目の記事となります。

 

今回は、被相続人の債務に関する調査についてです。

 

相続財産管理人の業務において、相続債務の調査方法は2つあります。

 

1つは、知れたる債権者に対するものです。

 

これは、被相続人の遺品などから判明する債務です。

 

例えば、被相続人の自宅の郵便ポストに、未払いの公共料金の請求書が入っている場合、請求元の電力会社やガス会社などに残債の金額を照会することで、債務の存在と債務額が判明します。

 

具体的な請求書がない場合でも、国税(被相続人の住所地を管轄する税務署)、住民税・固定資産税・都市計画税等(被相続人の住所地を管轄する市役所等)、国民健康保険・国民年金等(被相続人の住所地を管轄する市役所・年金事務所等)には照会を行い、滞納がないかは確認します。

 

併せて、逆に還付金の有無も確認し、有る場合には相続財産として回収します。

 

2つめは、相続債権者に対する請求の公告を行った際に、届け出によって判明する債務です。

 

被相続人の自宅等から発見した資料のみでは判明しない債務については、この方法によって調査をします。

 

相続財産管理人が選任されるケースのうち、被相続人が債務超過に陥っていた場合、債務の調査は特に重要になります。

 

債務超過ケースは、相続人がもともと不在ということは少なく、たいていは相続人が存在していたものの、全員が相続放棄をしています。

 

相続放棄に至る過程において、相続人は、被相続人宛ての貸金業者等からの請求書等を発見しています。

 

そのため、通常、一部の債務は判明します。

 

自宅不動産に抵当権が設定されていることもあるので、乙区を見ることで債権者がわかることもあります。

 

場合によっては、CICやJICCへ問い合わせ、債権者を調査することもあります。

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相続財産管理人日誌26

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弁護士の鳥光でございます。

 

相続財産管理人業務に関する、26回目の記事となります。

 

今回は、建物売却までの間の火災保険加入についてです。

 

相続財産の中に、自宅建物が含まれている場合、売却換価までの間は、現状を維持する必要があります。

 

特に特別縁故者が存在する可能性がある場合、1年以上、自宅建物の換価をしないというケースもあります。

 

建物周辺に燃えやすい廃棄物があったり、乾燥する時期をまたいだりする場合、火災が生じる可能性も否めません。

 

火災が起き、近隣の住民の方などに被害が生じた場合、損害賠償責任が発生することも考えられます。

 

そこで、売却換価するまでの間、火災保険に加入するという対応をすることがあります。

 

被相続人の資産がそれなりにある場合で、かつ死亡からあまり時間が経っていない場合、もともと加入していた火災保険の期間が続いていることもあります。

 

この場合には、保険加入者の名義を相続財産管理人に変更するという手続きをとります。

 

被相続人が債務超過の状態であるなど、自宅不動産以外にめぼしい財産がない場合や、被相続人死亡から長期間が経過している場合、火災保険に加入していない(または保険期間が切れている)ことがあります。

 

この場合には、改めて相続財産管理人による火災保険加入が必要になることもあります。

 

なお、保険会社側としては、相続人不存在となっている空き家を対象とする火災保険は、極めて稀なケースです。

 

そのため、例外的な審査等が必要になることがありますので、保険会社等の窓口担当者の方へ、しっかりとした情報提供をすることが大切です。

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相続財産管理人日誌25

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弁護士の鳥光でございます。

 

今回は、相続財産管理人の業務についての25回目の記事となります。

 

前回の空き家の売却に関連し、売却までの間の空き家の管理についてお話しします。

 

近年では、市町村等が空き家の管理のために相続財産管理人の選任を申立てるケースも増えており、この場合には自宅不動産が相続財産に含まれる形になります。

 

債務超過ケースでない場合、自宅不動産を売却するまでは、相続財産管理人の選任から1年以上かかることもあります。

 

この間、相続財産管理人は不動産が傷んだり、近隣の方に迷惑が掛からないように管理する必要があります。

 

特に春~夏にかけては、気温が上昇し、敷地内に雑草等が増えます。

 

虫が発生することもあります。

 

また、梅雨やゲリラ豪雨、台風などによって家屋にダメージが発生することもあります。

 

そのため、私は6月あたりからは、頻繁に不動産を訪れ、状況の確認をします。

 

特に気を付けていることは、虫の発生です。

 

具体的には、蜂と毛虫です。

 

いずれも、刺されたり触れたりすると、人体に悪影響があります。

 

近隣の方に迷惑がかかってはいけないので、発見したら駆除する必要があります。

 

調査中に自分が虫に襲われる可能性もあるため、たとえ夏であっても、長袖長ズボン、手袋、帽子を装着します(幸いコロナ禍の影響もあり、マスクもしているので、顔も覆えます)。

 

殺虫剤も持参していきますが、蜂が相手の場合は吹きかけません。

 

近くに蜂の巣があると、殺虫剤に刺激されて大群で襲われる可能性もあるためです。

 

蜂の巣があった場合は、門塀にその旨を示し、近隣の方に注意を促すとともに、専門業者等に連絡して駆除します。

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相続財産管理人日誌24

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弁護士の鳥光でございます。

 

相続財産管理人の業務についての24回目の記事となります。

 

今回は、空き家の処分の方針についてです。

 

相続人不在となった相続財産の内容は、ケースバイケースであり、全く同じものは存在しません。

 

もっとも、相続財産管理人が選任選任されるケースは、類型的には、不動産、特に空き家が存在していることが多いと思われます。

 

近年では、市町村が空き家問題対策のため、相続財産管理人選任の申立てをすることもあります。

 

空き家処分の方法、時期について、明確な決まりはありません。

 

基本的には、売却、換価し、売却金の中から管理費用等を控除して、最終的には国庫へ納めるという形になります。

 

売却時期については、特別縁故者が存在する可能性が見込まれる場合には、特別縁故者の申出期間が完了するまで、空き家を売却しないということもあります。

 

特別縁故者が家屋の取得を希望する場合があるためです。

 

売却の方法についても、様々な方針が考えられます。

 

いわゆるゴミ屋敷のように、汚損が酷く、空き屋以外の財産からは清掃費用が捻出できないような場合は、現状有姿で売却するということが考えられます。

 

当然売却価格は下がりますが、高額な清掃費用の負担がなくなるので、結論としては回収できる金額に大きな差は生じないという理論になります。

 

買い手についても、検討が必要です。

 

一般的には、より良い条件で売却するために、宅建業者の方に依頼して、広く買い手を募ります。

 

もっとも、住宅地にある空き屋については、隣地の方が購入を希望することが多々あります。

 

そのため、隣地の方にお声がけすることもあります(裁判所によっては、これを推奨していることもあります)。

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