【受験シリーズ】3 勉強以外の努力

10月に入り,だんだんと寒さも深まっていくかと思います。

 

感覚的なものですが,昔に比べ,1年間の寒暖差が大きくなった気もします。

 

弁護士法人心の鳥光でございます。

 

9月からスタートした受験シリーズの3回目です。

 

今回は,司法試験に受かるために,勉強以外の部分で採った戦略についてです。

 

まず,ロースクールに入学した当時の私は,以下のディスアドバンテージがありました。

 

1 理工学部出身かつ法律に関係のない仕事をしていたため,法律に関する馴染みすらない

2 当時30代で,他の受験生(大半が20代)と比べ,体力,記憶力,思考力が劣る

 

1は本当に大きなハンデとなります。

特に,2年次に入学してくる法学既修者の方々は,法律の勉強に加え,学部時代から試験で点数を取る訓練を積んできている人も多いので,二重に不利となります。

 

2についても,20代の人と同じペースで勉強してしまった結果,高熱を出したり,下痢が止まらなくなるなど,体調を崩すことが多々ありました。

 

このような状況でしたので,周りと同じことをしていても試験に受かることはできないと考えていました。

 

試験の勉強をすることは当然ではありましたが,それ以外の部分でアドバンテージを作っていくことにも重点を置いていました。

 

具体的には次のことを行いました。

 

・試験会場の近くに住む
試験当日,住み慣れた環境から,徒歩で試験会場まで行けることは,精神面において大きなアドバンテージになったと考えています。

 

仮に試験会場の近くにホテルを手配すると,普段と環境が変わるので,不安は増大したと思いますし,試験会場まで交通機関を使うとなると,事故やトラブルに巻き込まれる不安を抱えなければなりません。

 

試験会場の近くに住むことを実践していた人は少ないと思いますので,相対的にも効果は大きかったと思います。

 

 

・自分の判断で使えるお金を惜しまない
幸い,他の受験生に比べ,自分の名義の口座に入っているお金は,非常に多かったと思います。

 

そのため,誰(親等)とも交渉することなく,独断・即決で数十万円する受験予備校の答案練習の申し込みを行うということもできました。

 

上記の,試験会場の近くに住むことも,ある意味自分の判断だけで年100万円近い金銭(家賃)を使ったと考えることができます。

 

 

・世代差を利用し,人間関係を深めすぎない
他のロースクールの生徒の大半が20代なので,私は一回り上の年代でした。

 

そのため,特に意識しなくとも,深い人間関係はできあがりませんでした。

 

一般論として,ロースクールは割と閉鎖的な世界なので,良くも悪くも人間関係が濃厚になり,時に人間関係のトラブルに発展してしまうことがあります。

 

こうなってしまうと,何らかの形で試験勉強にも悪影響が出てしまいますので,人間関係を深めすぎないことも大切だと考えております。

ブログ一覧はこちら

【受験シリーズ】2 司法試験受験のための資金繰り

10月になりました。

 

これからは寒さも増していくかと思います。

 

気温の変化には気を付けましょう。

 

9月からスタートした受験シリーズ2回目です。

 

今回は,司法試験受験のための資金繰りについてです。

 

私は,理工系の学部出身で,就職後8年間,法律とは関係のない仕事に就いていました。

 

その後仕事を辞め,生活費を含め自費で3年間ロースクールに通い,司法試験を受験して弁護士になりました。

 

これを実現するためには,お金に関する話題を避けて通ることはできません。

 

まず,働きながらロースクールに通うことは困難ですので,多くの場合仕事を辞めることになります。

 

そのため,収入がなくなります(不労所得を持っている人は別ですが)。

 

また,私はロースクールに通うための借金はしないことにしていました(非常用に無利息の奨学金を借りていましたが,全く手を付けておりません)。

 

そうすると,仕事をしている期間にお金を貯め,かつ仕事を辞めた後は出費を抑えるしかありません。

 

以下,私のお金のため方と,出費のコントロールについて紹介します。

 

1 お金のため方
私は仕事を辞めた時点で,退職金を含め1200万円の貯金がありました。

 

これがなかったら,自費で生活費とロースクールの学費を賄うことはできませんでした。

 

前職時代,特に意識して貯めていたのではないのですが,結果論としては,次の要素が貯蓄に貢献していたのだと思います。

 

・家を買っていなかったこと
・車を買っていなかったこと
・付き合いの飲み食いをほとんどしなかったこと
・旅行をほとんどしなかったこと

 

これを守っていれば,自然とお金がたまることが多いと考えられます。

 

実家が会社の通勤圏内であったのですが,会社の近くにマンションを借りて住んでいたので,もし実家から通っていたら,もっと預貯金は多かったと思います。

(ただし,実家からは1時間30分以上満員電車に乗るので,健康を維持できなかった可能性はあります)

 

 

2 無駄な出費は抑え,かけるべきお金はかける
ロースクールに通っている最中は,いわゆる無駄遣いはほとんどしませんでした。

 

毎週のように飲み食いしたり,夏休みや春休みに海外旅行に行ったり,衣類を衝動買いしたりということは全くしませんでした。

 

他方,かけるべきところにはお金をかけました。

 

まず,敢えて実家に戻らず,受験会場の近くで一人暮らしをしていました。

 

これは,試験本番で大きなアドバンテージになりました。

 

そのため,家賃には相当お金をかけました。

 

勉強に使う教材は,最新版を新品で買いました。

 

食事も,外食が中心でしたが,しっかりしたものを摂っていました。

 

また,受験予備校の答案練習も受講しました。

 

司法試験受験に限ったことではありませんが,まとまった種銭を作るということは,新しいことを始めるためには非常に重要であると考えております。

ブログ一覧はこちら

【受験シリーズ】1 イントロダクション

今年は,コロナウィルスが様々な場面に影響を及ぼしています。

 

弁護士の大半がかつて受験した,司法試験の日程も延期されました。

 

司法試験に関するセンセーショナルな話題が持ち上がったことを機に,受験生時代の私がどのような勉強をしていたかを,順次紹介していきたいと思います。

 

それというのも,私は法曹全体の中においては,客観的に見て相当程度少数派に属していると思います。

 

私は理工学部出身で,もともと物質・材料の研究者を目指していました。

 

諸事情により研究者になることをあきらめ,理工系の大学院修了後,民間企業に就職して8年間,法律との関係は希薄な仕事をしておりました。

 

その後,仕事を辞めてロースクールに入り,司法試験を受験して弁護士になったという経緯があります。

 

そして,ロースクール生であった頃の私は,相対的に以下のようなハンデを背負っていました。

・法学部出身でなく,法律に対する馴染みが全くない(俗に「純粋未修者」と呼ばれます)

・他の受験生と比べて年齢が高く,相対的に体力,記憶力,思考力が劣る(大半が20代であったが,私は30代)

・生活費含めすべての費用を自分の貯金で賄っているため,資金的余裕が少ない

 

このような3重苦の条件下においても,1回で司法試験に合格することができました。

 

次回以降,仕事を辞めてロースクールに通うための資金の作り方から,実際に司法試験を受験するまでのことを紹介していきます。

ブログ一覧はこちら

【相続放棄シリーズ】19 被相続人が事業を行っていた場合

9月に入りました。

 

徐々に暑さは和らいでいくと考えられるものの,まだまだ猛暑の日もあるかもしれませんので,熱中症対策は重要です。

 

被相続人の財産状況を理由に相続放棄を検討する際,相続財産を調査する必要があることがあります。

 

今回は,相続放棄シリーズ19回目,被相続人が個人で事業を営んでいた場合についてです。

 

法律上は,相続放棄は被相続人が自営業者であったか雇用されていたかは問題になりません。

 

もっとも,前提となる財産の調査は,前者の方が格段に労力を要する傾向にあります。

 

1 被相続人が個人事業主であった場合

法人の代表者ではなく,個人で自営業をされていた場合です。

 

業種や規模にもよりますが,財産状況が非常に複雑になる傾向にあります。

 

小売り業のように,在庫を有する業態の場合,多品種を扱っていると,在庫のカウントと評価額の計算だけでも膨大な作業になることがあります。

 

また,仕入先とお得意様がいくつもある場合,買掛金,売掛金のような金銭債権,金銭債務も多数存在します。

 

意外と盲点なのが,被相続人が医師であった場合です。

 

特に調剤も行っていた場合は,多品種の薬剤が存在することもあり,専門的な分野なので仕入先も区々だったりします。

 

税理士などが被相続人の顧問についていた場合は,会計書類の作成も委任を受けている場合が多いので,まずは顧問税理士の方に話をして,被相続人死亡時点での財産に関する資料を請求するところから始めます。

会計書類には,在庫の状況や,売掛金,買掛金のほか,手元現金や預貯金などの情報が載っているからです。

 

被相続人が自身で会計帳簿等を作成していた場合は,非常に困難になることがあります。

 

この場合は,被相続人の遺産整理を地道に行っていくほかありません。

 

2 被相続人が法人の代表者であり持分や株式を有していた場合

この場合は,相続人は,被相続人の会社の財産・負債を直接相続することはありません。

 

あくまでも会社の財産・負債は会社という法「人」に属しているためです。

 

代わりに,被相続人の持分・株式が相続財産となります。

 

持分・株式を評価する際には,法人の財産を調査する必要があり,この労力は被相続人が個人事業主であった場合と変わりません。

 

時折,代表者であった被相続人が,法人の連帯保証人になっているケースがあります。

 

このような場合,法人の負債が被相続人に降りかかってくることになりますので,法人の負債をしっかり調査する必要があります。

 

上記1,2いずれの場合であっても,しっかり調査を行うとなると非常に時間が掛かる可能性がありますので,予め相続放棄の期限の延期の手続を行っておくことが大切です。

ブログ一覧はこちら

【相続放棄シリーズ】18 相続放棄と時効援用

暑い日が続きます。

 

熱中症の危険があることに加え,寝苦しい日もあることから体調を崩される方もいらっしゃるかもしれません。

 

ひと昔前は冷房が身体に悪いと言われていましたが,今では冷房をかけないと身体に悪いとさえいえそうです。

 

相続・債務整理を担当している弁護士の鳥光でございます。

 

相続放棄シリーズ第18回目となります。

 

今回は相続放棄と時効援用についてです。

 

1 どちらも相続債務を負担しないで済む

被相続人が債務を有したまま死亡すると,基本的にその債務は法定相続割合に基づいて相続人が負担することになります。

 

相続放棄をすると,その相続人は初めから相続人でなかったことになりますので,当然債務も相続せず,負担する必要はなくなります。

 

相続放棄は,相続人が個別に行う手続ですので,相続債務を負担する必要がなくなるのは,相続放棄をした相続人だけです。

 

時効援用は,相続債務の消滅時効が完成している場合に限られますが,やはり相続人が債務を負担する必要がなくなります。

 

法的には,相続債務を一旦相続するものの,時効援用により債務を消滅させることができるということになります。

 

初めから債務を相続していないことになる相続放棄とは,理論上は異なりますが,相続債務の支払い義務がなくなるという部分は共通しています。

 

2 実務上は様々な違いがある

相続放棄をする場合も,時効の援用をする場合も,被相続人の相続財産(債務)の調査をする必要はあります。

 

厳密には,相続放棄は,債務を有しているおそれがあることが判明した段階でも行ってしまうことも多いです(たとえば,遺品の中から,少し古い消費者金融からの請求書が出てきたなど)。

 

しっかり相続債務を調査する場合は,債権者に対して,被相続人の取引履歴を提示してもらうよう依頼し,かつ依頼する人が相続人であることを示す書類(被相続人死亡の記載のある除籍,及び相続人の戸籍など)を提示する必要があることもあります。

 

もちろん,債権者に対する取引履歴の請求は弁護士が代理をすることもできますし,弁護士が職務上請求により戸籍謄本類を取得することもできます。

 

債務の調査には時間が掛かることもありますので,相続放棄を視野に入れている場合は,期限の延長手続を行っておくことも大切です。

 

相続債務の状況が判明したら,(他にも債務が存在しているおそれがないことが前提ですが)時効が完成している場合とそうでない場合とで対応が変わってきます。

 

時効が完成していて,預貯金等他の財産を取得することに問題がない場合は,債権者に対して消滅時効の援用を行います。

 

消滅時効の援用は,債権者に対して行われるものですので,弁護士が代理として行う場合は,債権者を相手方とする委任を受ける必要があります。

 

そして,相続人の代理人として,債権者に対して時効援用の通知文を送付するということが行われます。

 

時効が完成していない場合,相続放棄を行います。

 

感覚的にわかりにくい部分ですが,相続放棄は債権者に対してではなく,裁判所に対して行われる手続きです。

 

したがいまして,弁護士が代理で行う場合は,債権者を相手とする委任を受けるのではなく,あくまでも相続放棄の委任を受けた旨を裁判所に対して示すということになります。

 

相続放棄が完了した後,弁護士が債権者に対して相続放棄申述受理通知書を送付することがありますが,これは時効の援用とは異なり,あくまでも依頼者に代わって事実上相続放棄が完了したことを通知する,という形になります。

ブログ一覧はこちら

【相続放棄シリーズ】17 相続債務があるが相続放棄は困難である場合

夏も本番になりました。

 

熱中症対策は十分にしなければなりません。

 

相続,債務整理を中心に担当しております,弁護士の鳥光と申します。

 

今回は相続放棄シリーズ17回目,相続放棄が(事実上)できない場合についてのお話です。

 

1 相続債務があるが,生活に必要な財産もある場合

典型的な例として,被相続人が消費者金融等に債務を有していると同時に,自宅を所有しており,相続人がそこに住み続ける場合がこれにあたります。

 

もちろん,相続放棄をして,(元)自宅から退去するという選択も,理論的には存在します。

 

しかし,新たな家を探すことは簡単なことではありませんし,自宅の価格に比べて債務額が低い場合,もったいない感じもします。

 

このような場合,相続放棄以外の解決手段がないか,検討します。

 

2 解決法は大きく分けて2つ

1つは,自宅を売却し,その売却金で債務を返済することです。

 

もっとも,この方法は,売却金の余りを得ることはできるものの,新たな住居を探して転居する負担は残ってしまいます(不動産の売却自体も簡単ではありません)。

 

2つめとして,任意整理,時効援用を行うという方法が考えられます。

 

まず,被相続人の方宛てに送られた請求書や,信用情報機関から取得した情報を元に,債権者と債務額を正確に調査します。

 

この時,返済期限から何年も経っていて,消滅時効が完成しているようでしたら,時効を援用することで債務をなくすことができます。

 

金銭債務は,相続人全員に法定相続割合で分割されているので,相続人それぞれが時効援用をする必要があります。

 

時効が完成していない場合,任意整理を行います。

 

放っておくと遅延損害金が膨れ上がるだけでなく,場合によっては訴訟を提起されたり,裁判所を通して支払督促がなされたりすることがあります。

 

任意整理によって和解契約を締結し,支払金額を固定したうえで分割払い等にすることが一般的ですが,この部分は通常の任意整理(ご存命の方の任意整理)と比較すると複雑になります。

 

上述の通り,消費者金融等に対する金銭債務は,相続人間で法定相続割合で分割されます。

 

そのため,和解契約は相続人それぞれが債権者に対して行う必要があり,支払いも個別に行うことが基本です。

 

もっとも,これは非常に手間がかかりますので,和解契約書の文面において,相続人それぞれが法定相続割合による債務を有していることを確認したうえで,相続人代表者を決めて,その人が債権者に対して全員分の支払いを行うとすることがあります。

あくまでも,代表者は債権者に対して全員分をまとめて支払うだけで,相続人全員の債務を負担するわけではありません。

ブログ一覧はこちら

【相続放棄シリーズ】16 被相続人が賃貸住宅に住んでいた場合

7月に入り,とても湿度の高い日が増えてきました。

 

食中毒等に気を付け,体調管理に気を配りたいところです。

 

相続・債務整理を担当している弁護士の鳥光でございます。

 

相続放棄シリーズ第16回目となる今回は,被相続人が賃貸住宅に住んでいた場合についてです。

 

1 民間の賃貸住宅の場合

いわゆる,被相続人が大家さんからアパートやマンション(場合によっては一軒家)を借りて,賃料を払っていた場合です。

 

この場合,被相続人が亡くなると,まずは相続人が賃借人の地位を相続します。

 

そのため,原則としては,解約等により賃貸借契約がなくなるまでの間,相続人には賃料等を支払う義務があります。

 

また,被相続人が賃料等を滞納していた場合,未払賃料や遅延損害金等を支払う義務も生じます。

 

そして,相続人が相続放棄をすると,初めから相続人でなかったことになりますので,賃借人としての地位も,賃料等の支払い義務も,初めからなかったことになります。

 

賃貸人から,解約して欲しい旨の話が来た場合は注意が必要です。

 

解約という言葉の法的意味が問題となります。

 

賃貸人と相続人との間での合意により賃貸借契約を修了させるものである場合,合意解除となるので,相続財産の処分(法定単純承認事由)にあたる可能性が出てきます。

 

そのため,賃料の不払いなどを理由とした,法定解除(賃貸人側の一方的な意思表示で賃貸借契約を修了させるもの)としてもらう必要があります。

 

被相続人と同居していた相続人が,引き続きその賃貸物件に住む場合は,一旦賃貸人と被相続人との間の賃貸借契約を法定解除してもらい,改めて(元)相続人と賃貸借契約をする必要があります。

 

2 資力要件等がある公営住宅の場合

都営住宅など,家賃が低額である公営の住宅は,入居の際に収入や資力の要件を設けている場合があります。

 

ある一定の収入,資力を下回る場合にのみ,入居が許可されるというものです。

 

このような条件が設けられた公営住宅に居住する権利は,被相続人の一身専属権であり,相続の対象にならないとされます。

 

公営住宅の存在意義は,民間においては住宅の確保が困難な低所得者に対し,公共の福祉の観点から低額な住居を提供することにあります。

 

つまり,公営住宅を使用する人の経済的な属性に応じて付与される権利なので,相続人といえども被相続人とは属性が異なる以上,当然に承継するものではないということになります(相続人が被相続人と同等の経済的属性であれば,改めて使用権が認められるということはあり得ます)。

 

そのため,被相続人の死亡と同時に公営住宅の使用権はなくなり,民間の賃貸住宅のように,契約の解除等の問題はありません。

 

一方,自治体によって,配偶者や子が届け出をすることで入居承継を認めている場合があります。

 

この場合,あくまでも相続人の地位としてではなく,配偶者,子固有の権利として入居承継資格が与えられていると考えることができるため,相続放棄をしても入居承継ができることになります。

 

自治体によって扱いが異なりますので,実務上は個別具体的に窓口で確認する必要があります。

 

弁護士法人心では,四日市に新しく事務所を設立しました。

四日市周辺で相続問題にお悩みの方は,ぜひ一度ご連絡ください。

⇒弁護士法人心四日市法律事務所 相続サイト

ブログ一覧はこちら

【相続放棄シリーズ】15 自己破産を検討している場合

今年の梅雨は,かなり雨が降っています。

 

特に西日本では水害に遭われた方も多くいらっしゃるかと思います。

 

一刻も早く復旧できることを祈ります。

 

相続と債務整理を担当している弁護士の鳥光と申します。

 

今回は相続放棄シリーズ15回目です。

 

自己破産手続と相続放棄との関係についてです。

 

1 自己破産手続について

自己破産(・免責)は,債務の弁済(支払い)が不能となったことを要件に,保有する財産で弁済できる範囲で債権者へ債務を弁済し,残った債務は免責される(一部例外の債務もあります)という手続です。

 

破産の申立時に財産を有していない場合には,申立と同時に免責となることもあります。

 

破産を申し立てる際は,債権者の一覧と,それぞれの債権者に対していくらの債務があるのかを明らかにする必要があります。

 

債務を有している被相続人が亡くなった場合,法定相続割合に従って債務を相続しますので,当該債務の債権者と債務額も,破産申立の対象となります。

 

2 自己破産手続開始後の相続放棄

自己破産の申立ての準備をする過程で,被相続人に債務があり,その債務が自分に降りかかていることを知ることがあります(債務調査のため,さまざまな債権者に対して債権の届け出をしてもらうためです)。

 

自己破産手続が開始されていても,相続放棄自体はこれとは別の手続であるため,相続放棄の申述を行うことは問題なくできます。

 

ただし,破産法により,相続放棄の効果に制限がかかります。

 

限定承認(相続によって得た積極財産の限度で,相続債務を弁済することを条件とする相続)としての効果しか生じないこととなります。

 

理由は,債権者の保護のためです。

もし換価価値のある相続財産が存在していた場合,これらを放棄してしまうと債権者への配当原資が減ってしまうからです。

 

もっとも,相続放棄をする場合というのは,多くは被相続人に財産がなく,負債のみがあるというケースです。

 

このような場合,限定承認の効果を持たせる必要がありません。

 

そのため,この場合には,破産管財人が,相続放棄の効力を認める旨を家庭裁判所へ申述することで,相続放棄として扱われることになります。

 

いずれにしても,破産手続を行っている際に相続放棄をする場合は,申立代理人にしっかりとその旨を伝え,相続放棄申述受理通知書を受取ったら,写しを提供しましょう。

 

 

弁護士法人心では,四日市に新しく事務所を設立しました。

四日市周辺で相続にお悩みの方は,ぜひご連絡ください。

⇒弁護士法人心四日市法律事務所 相続サイト

ブログ一覧はこちら

相続放棄と債務整理

今年の梅雨は,本当によく雨が降ります。

 

夏場の水不足の心配は減りそうですね。

 

小職は,相続に加え,債務整理も担当しております。

 

そこで今回は,相続放棄と債務整理との関係についてお話いたします。

 

1 共通点

相続放棄と債務整理は,どちらも債務をなくすという効果があります。

 

たとえば,複数の債務をお持ちの方が任意整理を行う場合,これらの債務の中に時効となっているものがあれば時効援用によりその債務を消滅させ,相続債務が含まれている場合には相続放棄によってその債務をゼロにします(正確には初めから相続人でなかったことにすることで,相続債務が元々存在していなかったことにします)。

 

また,債務整理のうち,債務を完全になくせる手続として破産・免責があります(一部例外となる債務もあります)。

 

概括的には,相続放棄は債務を一切引き継がない代わりに財産も一切得られないという効果があり,破産・免責は債務の支払い義務がなくなる代わりに財産もなくなるという効果があるので,
両者は似たような効果を持っています。

 

2 相違点

相続放棄は,裁判所に対して必要書類を提出して行われる手続きです。

 

弁護士が代理人となる場合も,あくまでも裁判所に対する代理権を有している形になります。

 

債務整理のうち,破産と再生は裁判所を通じた手続ですが,任意整理は債権者(金融機関,消費者金融,個人等)を相手にして行います。

 

そのため,代理人の代理権も,債権者に対するものとなります。

 

具体的には,弁護士が債務者の代わりに,債務者の財政状況を債権者に伝えるとともに,支払い総額や支払期間(分割回数)などの条件を交渉し,最終的に和解契約を締結するというものです(和解に至らないこともあります)。

 

この違いは,実務上は,相続放棄手続が完了した旨を債権者に対して連絡する際に現れます。

 

相続放棄において,債務者(債務者の相続人)の相続放棄手続が完了した際に,その旨を債権者に対して連絡します。

 

こうすることで,相続人が債務者でなくなったことを債権者に認識してもらって請求を止めることができるためです(債権者としても,回収不能という形で事件をクローズできるようになります)。

 

このとき,受任通知を求められることがあります。

 

債権者側から見ると,債務者に関する事項で弁護士から連絡が入る場合というのは,返済に関する交渉の場合がほどんどであるためです。

 

しかし,相続放棄の代理人弁護士は,あくまでも裁判所に対する代理権を有しているだけで,債権者との債務に関する交渉の代理権を有しているわけではありません。

 

そもそも,債権者を事件の相手方としているわけではないので,受任通知を送るという性質のものではないのです。

 

このことを説明し,相続放棄申述受理通知書の写しを提供する等することで,(元)相続人の方への請求を止めることができます。

ブログ一覧はこちら

【相続放棄シリーズ】14 相続放棄は連鎖する

かなり暑い日も増えてきた半面,まだまだマスクが手放せない状況。

 

水分を多めに取り,熱中症対策をすることが大切であると感じます。

 

今回は,相続放棄シリーズ第14回目,相続放棄の連鎖についてです。

 

1 相続には順位がある

人が亡くなることで,相続が発生します。

 

被相続人が亡くなった時点で子がいた場合,子が相続人となります。

 

子がいない場合,直系尊属(父母,祖父母等)が相続人となります。

 

直系尊属もいない場合(実際には先に亡くなっていることが多いです),兄弟姉妹が相続人となります。

 

被相続人に配偶者がいる場合,常に相続人となります。

 

2 相続放棄をすると次の順位の相続人に相続権が移る

相続放棄が認められると,申述人は初めから相続人でなかったことになります。

 

つまり,相続に関する法律上は,初めからいなかったことになります。

 

被相続人の子が(全員)相続放棄をすると,被相続人には子がいないことになるため,次の順位である直系尊属が相続人となります。

 

そして,生存している直系尊属も相続放棄をすると,直系尊属もいなかったことになるため,さらに次の順位の兄弟姉妹が相続人になります。

 

3 相続人全員が相続放棄をしないと,大きな負担が生じることも

被相続人が資産を持たず,大きな負債を抱えたまま亡くなった場合などは,相続人全員が相続放棄をしないと,放棄をしなかった相続人が大きな負担を抱えることになります。

 

子が全員相続放棄をすると,被相続人の負債は直系尊属にまわってきます。

 

直系尊属が全員相続放棄をした,または直系尊属が既に全員死亡していた場合,被相続人の負債は兄弟姉妹にまわってきます。

 

さらに,兄弟姉妹が複数人いる場合,本来は負債が法定相続割合に基づいて分散されますが,一部の兄弟姉妹だけが相続放棄をすると,残りの兄弟姉妹に負債が集中します。

 

そのため,負債を負担するお気持ちがある場合は別として,先順位相続人が相続放棄をした場合には,次の順位の相続人も相続放棄をしない限り,被相続人の負債から逃れることはできないということになります。

ブログ一覧はこちら