令和3年も5月に入りました。
昨年の5月は、初の緊急事態宣言が出され、外出者が非常に少ないという、異例の光景が見られました。
今年も、再度コロナウィルスの影響が強まっていますので、日ごろから気を付けたいものです。
弁護士法人心の鳥光でございます。
今回は受験シリーズの10回目です。
1 納得と記憶
司法試験においては、考え方や理解が非常に大切といわれます。
もちろん、それはその通りです。
一方で、やはり覚えなければどうにもならないものもあります。
規範は、その最たるものの一つであると考えられます。
問題は、覚え方にあると考えられます。
判例規範や、論証パターンを、文字列として暗記をするのは、目の前の点数を取得しなければならない状況下においては、応急処置としては良いかもしれません。
しかし、応用が利きませんし、記憶が長続きしません。
人間の記憶は、納得が得られたとき、長期記憶として残るといわれています。
納得と理解は、この場面においてはほぼ同義です。
では、同じことを覚えるとしても、納得を得て覚えるためにはどうすればよいのでしょうか。
2 趣旨と規範
条文や条文上の単語の解釈について、納得を得るためには、趣旨を読むことです。
ある条文が、何のために生み出されたのかを知ることで、単語の解釈の仕方にも納得がいきます。
納得さえすれば、忘れにくくなるので、試験本番でも自然に引き出すことができるようになります。
そして、趣旨は、規範ともつながってきます。
規範は、趣旨からさかのぼって生み出されることが多いためです。
条文の趣旨を知っていれば、(一字一句正確にではないにせよ)規範を思い出すことがしやすくなります。
意味も分からず、無理矢理文字列として覚えた規範を捻りだすのとは、根本的に違います。
時には、判例のパターンから、少しずらした事案が出題されることもあります。
このような場合こそ、趣旨からさかのぼって、判例規範に応用を加えるということもできるようになります。