空き家活用の話2

今日も本ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

 

弁護士・税理士の鳥光でございます。

 

前回に続き、空き家活用について説明していきます。

 

いままで、ある土地・建物の所有者が理論上不存在ではなかったとしても、複雑な相続が発生するなど所有者の調査が困難であったり、所有者と連絡が取れない場合、原則としてその土地・建物の売却をし、他の方が利活用するということができませんでした。

 

所有者が不存在である土地・建物以上に、所有者が存在している土地・建物の処分は困難になることがあるのです。

 

所有者が存在しているがゆえに、当該所有者の売却等の意思表示が得られなければ、土地・建物の所有権を移転することができないためです。

 

令和5年4月1日施行となる、土地・建物に特化した財産管理制度のひとつに、所有者不明土地・建物の管理制度というものがあります。

 

これは、調査を尽くしても、所有者やその所在を知ることができない土地・建物について、利害関係人が地方裁判所に申し立てることによって、その土地・建物の管理を行う管理人の選任がなされるという制度です。

 

裁判所の許可を得ることで、管理人は、土地・建物の売却をすることができるとされているため、空き家の利活用に直接つながっていきます。

 

相続財産管理人の選任手続きと似ていますが、所有者が存在していてもよいこと、管理の対象が土地・建物に限定できるという点で異なります。

 

具体的な運用はこれからであるため、どのような事実と疎明資料があれば「調査を尽くしても、所有者やその所在を知ることができない」とされるか、および、どのような者が「利害関係者」にあたるか、については今後の実務の積み重ねによって確立されていくかと思います。