2月になりました。
一年のうちで一番寒い時期であると同時に、三寒四温ともいわれ、寒暖差が激しいので健康管理には気を付けましょう。
弁護士法人心の鳥光でございます。
今回は、相続人全員が相続放棄をし、相続人不在となった場合についてです。
1 相続人全員が相続放棄をした場合
相続放棄には順位があります。
単純化すれば、子→直系尊属(両親、祖父母等)→兄弟姉妹の順となります。
子や兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっていた場合、その代襲相続人に相続されます。
先順位相続人が相続放棄をし、順に後順位相続人も相続放棄をすると、最終的には相続人が不在になります。
このようになると、被相続人の財産は、相続人不在となります。
2 管理責任
相続人全員が相続放棄をしたとしても、元の相続人には、被相続人の財産に関する管理責任が残ります。
この管理責任の内容は、明確にはなっていないのですが、少なくとも相続財産管理人へ引き渡すまで、棄損、滅失をしないようにする責任があると考えられます。
被相続人の財産が、預貯金のみであったり、少額の現金など小さな動産のみである場合はほどんと問題ありません。
問題となるのは、被相続人の財産に不動産や自動車が含まれる場合です。
特に建物が存在している場合、老朽化によって隣接地等に被害が生じる可能性があります。
法的に損害賠償責任を負うか否かとは別に、何かしらの連絡が入り、トラブルにはなる可能性があります。
そのため、保存行為として、補修等を行っていかなければならなくなります。
未来永劫補修を行うことは、とても大きな負担になります。
他方、建物の取り壊しは法定単純承認事由になるため、行うことができません。
そこで、相続財産管理人選任の申立てを行うという選択肢が出てきます。
3 相続財産管理人
相続財産管理人は、相続人が不在となった相続財産を管理する役割の人です。
利害関係人が裁判所へ申し立てることで、選任されます。
行うことは、大まかに、相続財産の調査、債権者の調査、相続財産の換価、債権者への配当です。
処分することができなかった相続財産は、国庫に帰属されます。