相続と相続税

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弁護士法人心で相続に関する事案を中心に担当している,鳥光(とりみつ)と申します。

 

日頃,相続に関するお悩みについて,ご相談をいただく機会が多々ございます。

 

相続と一言で申しましても,法的にはさまざまな要素を含んでいるケースの方が多いです。

 

たとえば,遺産分割のご相談であっても,親の預貯金を他の相続人が使い込んでいたという事案であれば,法的には不当利得という問題になります。

亡くなった方が誰かにお金を貸していたのであれば,法的には貸金債権が相続財産となりますので,貸付先にお金を返して欲しいという請求をするということがあります。

 

その中でも,相続のお話と密接に関係するのが,相続税です。

 

大まかに申しますと,遺産分割は民法に基づいて検討し,相続税に関することは相続税法に基づいて検討しますので,両者は法的には別物です。

 

しかしながら,ある程度大きな相続財産がある場合,遺産分割と並行して,相続税が発生するのか,発生するとしたらいつまでに申告しなければならないのか,軽減する方法はないのか,納税資金は用意できるのかなど,様々なことを考慮しなければなりません。

 

弁護士としてはあくまでも遺産分割の事件として受任していたとしても,相続税のことを考慮に入れないというわけにはいかないのです。

 

申告期限までに分割協議を終えないと,相続財産の預貯金の払い戻しができず納税資金が確保できない,一旦は未分割申告をせざるを得ないなど,相続人の方に不利益が生じてしまうからです。

 

場合によっては税理士の先生と一緒に,お客様にとってベストな方法を検討するということもあります。

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10連休はいかがお過ごしでしょうか

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弁護士法人心で相続を中心に担当している,鳥光(とりみつ)と申します。

 

今年のゴールデンウイークは10連休となり,この機会に様々なことに取り組まれている方も多々いらっしゃるかと思います。

 

一方,連休が書き入れ時というビジネスに携わっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

旅行業界,運輸業界,不動産業界などは,連休方がお客様が多く繁忙期になると思います。

 

相続に携わる士業もまた,連休の時に活発に活動する業種の一つです。

 

お盆やお正月など,親戚(相続人)が一堂に会することができるタイミングは限られますので,その機会に立ち会って,できる限り遺産分割の調整を行い,話を進めるということがよく行われます。

 

ゴールデンウイークも,普段お仕事をされている相続人のお客様がお時間を確保できるチャンスとなります。

 

そこで,この機に相続人の方やその関係者と密に連絡を取り合い,遺産分割の調整や,相続に必要な資料・書面の作成を詰めるといったことを行うことが多いです。

 

私も,今年の10連休のうち何日間かは,お客様とお話をさせていただき,連休後の具体的なアクションを決めたり,相続を進めるにあたって必要な書類の作成を一気に進める,ということができました。

 

相続を担当する弁護士の使命の一つは,相続に関わるお客様の不安をできるだけ早く解消することであると考えております。

 

相続に関する調整を一気に進められるチャンスである連休は,是非とも逃さずに活用していきたいものです。

現場は大切

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弁護士法人心で相続を中心に取り扱っている,鳥光(とりみつ)でございます。

 

先日,相続案件に関連して,現地調査に行ってまいりました。
目的は,相続財産の正確な把握です。
特に土地や建物は,当事者のお話や,登記に関する情報,Googleストリートビューなどでもある程度は把握できますが,一方では実際に目で見てみないとわからない情報がたくさんあります。

 

土地については,実際の間口の狭さや,段差,傾きなどは,実際に目で見て体験してみないとわかりません。
建物については,内部の状況はGoogleストリートビューで見ることはできませんし,ひび割れや備品の破損など,細かい情報も知ることはできません。
また,被相続人の遺品の状況や,対立している相続人が占拠している状況など,様々な情報を正確に知ることができます。

 

相続財産を正確に把握することの利点は2つです。

 

1つは,正確な判断ができることです。
人伝に聞いた情報や,文字だけの情報から事実を把握しようとすると,無意識のうちに想像や推測が混じってしまうということがあり得ます。
そうすると,あってはならないことですが,不正確な事実を認識してしまうという危険性があります。
どこかの事実を誤って認識してしまうと,連鎖的に他の事実まで誤って理解してしまうことになり,結果として実態とはかけ離れた判断をしてしまいかねません。

 

2つめは,交渉の際に説得力を持たせることができることです。
遺産分割で弁護士が入る時とは,基本的には他の相続人との間で争いや対立がある時です。
任意交渉や調停の場においても,どこかのタイミングで相手方相続人やその代理人と,何らかの形でお話をします。
例えば,相続財産である古い老朽化した建物を売ってお金に換えたいという相続人と,そのまま残したいという相続人とがいたとします。
売りたいという相続人側の代理人として交渉する際,単に老朽化しているから売った方が良いと言うのと,実際にどのような部分がどのように破損していて,修復や維持には大きな費用がかかる可能性があるという話を,自分で撮った写真を添えてするのとでは,相手に対する説得力が全く異なります。

 

弁護士業務を進めるうえで,重要と考えられることについては,できる限り現場で現物を見るということを大切にしていきたいと思います。

意外と多い相続放棄

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弁護士法人心の鳥光(とりみつ)でございます。

 

私は相続に関する事案を中心に担当しております。

 

相続と一言で申しましても様々なケースがあります。

 

一般的なイメージとしては,遺産分割の争い,遺言の執行,遺留分減殺請求などがあるかと思います。

また,相続放棄という言葉を耳にされたことのある方もいらっしゃるかもしれません。

 

そして,相続のご相談をいただくなかで感じるのは,割と相続放棄に関するご相談が多いということです。

あくまでも私の体感なので,相続全体で相続放棄を望まれている方の割合が増えているとまでは言い切れません。

 

もっとも,高齢化が進み相続の発生は増えていきますので,それに比例して相続放棄も件数が増えるということは考えられます。

 

相続放棄を望まれるケースはいくつかあります。

最も多いのは,被相続人にめぼしい財産はなく,大きな借金があった,またはその可能性があるという場合です。

その他,とても疎遠な親族(祖父の前妻との間の子で親交が全くないなど)が亡くなり,優先順位の高い相続人も先に亡くなっていたため,代襲相続等を経て相続人になってしまったというような場合です。

このような場合,被相続人に関する情報もほとんどなく,調査や手続きに多大な手間や費用がかかるかもしれない懸念から,相続放棄を望まれることがあります。

 

相続放棄を考えるうえで重要な点の一つは,相続があったことを知った日から3か月以内でないと相続放棄の手続きはできないということです。

3か月というのは,実際にはとても短いです。

人が亡くなると,相続に関わる人にはたくさんやらなければならないことがあります。

死亡届など行政面の手続きや,お葬式などの手配に追われます。

これと並行して相続財産の調査や整理をし,3か月以内に相続放棄をするか否かの判断をするのは容易ではありません。

しかも,ここでいう3か月とは,相続があったことを知った日から,家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出するまでの期間です。

相続放棄をすることを決めた後,相続放棄の申述書を完成させるまでにも時間がかかります。

必要な戸籍謄本や除票を入手し,申述書を書き,収入印紙なども揃えて裁判所に提出するというプロセスが伴います。

 

相続放棄は,相続に関わる手続きの中では,比較的簡易な部類に属します。

裁判所のウェブサイトでも必要な書類や申述書のフォーマットが用意されているので,専門家ではない相続人ご本人様でも相続放棄の手続きをすることは難しいとはいえません。

もっとも,戸籍謄本類の取り寄せは平日日中に市役所等に行かなければならないこともあり,働いている方にとっては大きな負担です。

相続放棄をご検討される場合,一旦はご自身の生活状況に照らし合わせ,専門家に依頼するか,ご自身で手続きを行うかをお考えいただくことをお勧めします。