【相続放棄シリーズ】14 相続放棄は連鎖する

かなり暑い日も増えてきた半面,まだまだマスクが手放せない状況。

 

水分を多めに取り,熱中症対策をすることが大切であると感じます。

 

今回は,相続放棄シリーズ第14回目,相続放棄の連鎖についてです。

 

1 相続には順位がある

人が亡くなることで,相続が発生します。

 

被相続人が亡くなった時点で子がいた場合,子が相続人となります。

 

子がいない場合,直系尊属(父母,祖父母等)が相続人となります。

 

直系尊属もいない場合(実際には先に亡くなっていることが多いです),兄弟姉妹が相続人となります。

 

被相続人に配偶者がいる場合,常に相続人となります。

 

2 相続放棄をすると次の順位の相続人に相続権が移る

相続放棄が認められると,申述人は初めから相続人でなかったことになります。

 

つまり,相続に関する法律上は,初めからいなかったことになります。

 

被相続人の子が(全員)相続放棄をすると,被相続人には子がいないことになるため,次の順位である直系尊属が相続人となります。

 

そして,生存している直系尊属も相続放棄をすると,直系尊属もいなかったことになるため,さらに次の順位の兄弟姉妹が相続人になります。

 

3 相続人全員が相続放棄をしないと,大きな負担が生じることも

被相続人が資産を持たず,大きな負債を抱えたまま亡くなった場合などは,相続人全員が相続放棄をしないと,放棄をしなかった相続人が大きな負担を抱えることになります。

 

子が全員相続放棄をすると,被相続人の負債は直系尊属にまわってきます。

 

直系尊属が全員相続放棄をした,または直系尊属が既に全員死亡していた場合,被相続人の負債は兄弟姉妹にまわってきます。

 

さらに,兄弟姉妹が複数人いる場合,本来は負債が法定相続割合に基づいて分散されますが,一部の兄弟姉妹だけが相続放棄をすると,残りの兄弟姉妹に負債が集中します。

 

そのため,負債を負担するお気持ちがある場合は別として,先順位相続人が相続放棄をした場合には,次の順位の相続人も相続放棄をしない限り,被相続人の負債から逃れることはできないということになります。