今年の梅雨は,かなり雨が降っています。
特に西日本では水害に遭われた方も多くいらっしゃるかと思います。
一刻も早く復旧できることを祈ります。
相続と債務整理を担当している弁護士の鳥光と申します。
今回は相続放棄シリーズ15回目です。
自己破産手続と相続放棄との関係についてです。
1 自己破産手続について
自己破産(・免責)は,債務の弁済(支払い)が不能となったことを要件に,保有する財産で弁済できる範囲で債権者へ債務を弁済し,残った債務は免責される(一部例外の債務もあります)という手続です。
破産の申立時に財産を有していない場合には,申立と同時に免責となることもあります。
破産を申し立てる際は,債権者の一覧と,それぞれの債権者に対していくらの債務があるのかを明らかにする必要があります。
債務を有している被相続人が亡くなった場合,法定相続割合に従って債務を相続しますので,当該債務の債権者と債務額も,破産申立の対象となります。
2 自己破産手続開始後の相続放棄
自己破産の申立ての準備をする過程で,被相続人に債務があり,その債務が自分に降りかかていることを知ることがあります(債務調査のため,さまざまな債権者に対して債権の届け出をしてもらうためです)。
自己破産手続が開始されていても,相続放棄自体はこれとは別の手続であるため,相続放棄の申述を行うことは問題なくできます。
ただし,破産法により,相続放棄の効果に制限がかかります。
限定承認(相続によって得た積極財産の限度で,相続債務を弁済することを条件とする相続)としての効果しか生じないこととなります。
理由は,債権者の保護のためです。
もし換価価値のある相続財産が存在していた場合,これらを放棄してしまうと債権者への配当原資が減ってしまうからです。
もっとも,相続放棄をする場合というのは,多くは被相続人に財産がなく,負債のみがあるというケースです。
このような場合,限定承認の効果を持たせる必要がありません。
そのため,この場合には,破産管財人が,相続放棄の効力を認める旨を家庭裁判所へ申述することで,相続放棄として扱われることになります。
いずれにしても,破産手続を行っている際に相続放棄をする場合は,申立代理人にしっかりとその旨を伝え,相続放棄申述受理通知書を受取ったら,写しを提供しましょう。
弁護士法人心では,四日市に新しく事務所を設立しました。
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