相続財産管理人日誌13

相続財産管理人日誌、第13回目です。

 

相続財産管理人弁護士としての日々の体験談を記していきます。

 

相続財産の中に自宅不動産が含まれ、かつ庭が存在する場合には、庭に入る門の施錠が必要になることがあります。

庭に第三者が入り込む可能性があるためです。

 

第三者といっても様々な方がいます。

不法に占有する人や、ごみ等を不法投棄する人が典型ですが、それ以外にもあり得ます。

 

都心ではあまりありませんが、地域のコミュニティのつながりが強い地域などでは、害意なく庭に入り込む方もいらっしゃいます。

中には、ご厚意で庭の掃除をしてくださっている方などもいらっしゃいます。

 

もちろん、それ自体は事実上は問題はありません。

もっとも、何か起きてしまっては、管理責任上の不備があったということにもなりかねません。

 

そこで、庭の門にも、当該不動産が相続財産管理人の管理下に置かれたため関係者以外の立入りをご遠慮いただく旨を記した看板などを設置するとともに、チェーンロック等で施錠をしておくのが得策です。
(補足しますと、管理者の承諾なく入ることは、建造物侵入罪に該当する可能性もあります)

相続財産管理人日誌12

本ブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。

 

弁護士法人心の鳥光でございます。

 

相続財産管理人日誌第12回目は、自宅建物の鍵についてです。

 

申立人から提供してもらえるなど、自宅の鍵が入手できる場合には、これを用いて自宅建物に出入りします。
合鍵が存在しているか否かについても、確認が必要です。
許可していない人が侵入することは防ぐ必要があるためです。

 

問題となるのは、自宅の鍵が存在していないケースです。
もともと相続人がいない方が、外出中などにお亡くなりになると、警察が捜査したうえで、市役所などがご遺体を処理し、遺留品を保管します。
相続人がいない場合、一定期間経過すると遺留品が処分されます。
このようにして、自宅の鍵が滅失することがあります。

 

私が管理した家屋にも、このケースがありました。
自宅建物に入れないと、相続財産管理人としての業務遂行は極めて困難なので、鍵の開扉及び鍵交換(自宅内部に鍵がない場合)をする必要があります。
鍵の開扉と鍵交換は、保存行為とされるため、権限外行為の許可を得る必要はないとされますが、私は念のため裁判所へ確認もしました。
家屋の一部破壊を伴うためです。

 

鍵の開扉と交換は、専門の業者の方へ依頼するのが一般的です。
まずは開扉だけを行ってもらい、玄関を開けたら家の中を捜索します。
自宅の鍵が見つかれば、鍵交換が不要となることが多いためです。
(合鍵を持っている人が存在する可能性があるという観点からは、鍵を交換してしまった方が安全であるという考えもあります。)

 

鍵の開扉と交換は、それなりに費用がかかりますので、被相続人の預金解約が済んでいない場合は、一時的に立て替えたうえで、後日被相続人の預金をもって清算する流れになります。

 

私が鍵開扉、交換に立ち会ったのは真夏であったため、蚊に刺されるのを防ぐため、業者の方と一緒に虫よけスプレーをまいていました。
そうしたところ、玄関近くの物陰に蜂の巣が隠れており、虫よけスプレーに刺激されて20匹くらいの蜂が一気に出てきたことがあります。
非常に危険なので、被相続人の自宅不動産を訪れる場合には、害虫の有無の確認はとても重要です。