相続財産管理人日誌12

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弁護士法人心の鳥光でございます。

 

相続財産管理人日誌第12回目は、自宅建物の鍵についてです。

 

申立人から提供してもらえるなど、自宅の鍵が入手できる場合には、これを用いて自宅建物に出入りします。
合鍵が存在しているか否かについても、確認が必要です。
許可していない人が侵入することは防ぐ必要があるためです。

 

問題となるのは、自宅の鍵が存在していないケースです。
もともと相続人がいない方が、外出中などにお亡くなりになると、警察が捜査したうえで、市役所などがご遺体を処理し、遺留品を保管します。
相続人がいない場合、一定期間経過すると遺留品が処分されます。
このようにして、自宅の鍵が滅失することがあります。

 

私が管理した家屋にも、このケースがありました。
自宅建物に入れないと、相続財産管理人としての業務遂行は極めて困難なので、鍵の開扉及び鍵交換(自宅内部に鍵がない場合)をする必要があります。
鍵の開扉と鍵交換は、保存行為とされるため、権限外行為の許可を得る必要はないとされますが、私は念のため裁判所へ確認もしました。
家屋の一部破壊を伴うためです。

 

鍵の開扉と交換は、専門の業者の方へ依頼するのが一般的です。
まずは開扉だけを行ってもらい、玄関を開けたら家の中を捜索します。
自宅の鍵が見つかれば、鍵交換が不要となることが多いためです。
(合鍵を持っている人が存在する可能性があるという観点からは、鍵を交換してしまった方が安全であるという考えもあります。)

 

鍵の開扉と交換は、それなりに費用がかかりますので、被相続人の預金解約が済んでいない場合は、一時的に立て替えたうえで、後日被相続人の預金をもって清算する流れになります。

 

私が鍵開扉、交換に立ち会ったのは真夏であったため、蚊に刺されるのを防ぐため、業者の方と一緒に虫よけスプレーをまいていました。
そうしたところ、玄関近くの物陰に蜂の巣が隠れており、虫よけスプレーに刺激されて20匹くらいの蜂が一気に出てきたことがあります。
非常に危険なので、被相続人の自宅不動産を訪れる場合には、害虫の有無の確認はとても重要です。