空き家活用の話4

今日も本ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

 

弁護士・税理士の鳥光でございます。

 

今回は、空き家活用のお話しの4回目です。

 

先日、私が相続財産管理人として管理していた空き家の売却、引渡しをしました。

 

管理の対象であった空き家は、最後の住人がお亡くなりになってから10年以上手入れがされないままの状態でした。

 

塀が崩れていて周辺に被害を加える可能性がある、1階の窓が開いていたので不審者が侵入し住み着く可能性があるなど、近隣住民の方が不安を感じている空き家でした。

 

駅から遠くはないものの、敷地面積が狭く、家屋も非常に老朽化していたことに加え、家屋内も非常に汚損が進んでいたため、正直なところ好条件での売却は困難な空き家でした。

 

不動産業者様にご協力いただき、なんとか現状有姿で買い取ってくれる方を見つけることができました。

 

引渡しからしばらく経った後、管理していた空き家を見に行きました。

 

そうしたところ、すでに家屋は解体されていました。

 

これにより、倒壊や不審者による占有等の危険は解消し、近隣住民の方にもご安心いただくことができました。

 

最後の所有者がお亡くなりになり、誰も世話をすることができなくなってしまった空き家を生まれ変わらせることができるというのは、相続財産管理人の仕事の中でも、特にやりがいを感じる部分です。

 

ある程度発達している地域に限られるかもしれませんが、近年、自治体が空き家管理のために相続財産管理人の選任を申立てるケースも増えています。

 

私が相続財産管理人として選任されたのも、そのような申立てに基づくものです。

空き家活用の話3

今回も本ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

 

弁護士・税理士の鳥光でございます。

 

空き家の売却を考える場合、法律面においても、多くの観点での検討が必要になります。

 

とても重要な検討事項のひとつが、契約不適合責任の扱いです。

 

契約不適合責任とは、あらかじめ目的物に対して取り決めた種類や品質、数量に関して、契約内容に適合しない引き渡しをおこなった場合につき、売主側で負担する責任のことをいいます。

 
契約不適合責任は、2020年4月施行の改正後民法で定められた制度です。

 

空き家の場合、一般的な一戸建て住宅の売却とは事情が異なり、現在の所有者が土地や建物に関する事情を把握していないことも多くあります。

 

特に元の持ち主が高齢者として何年も生活していたという経緯があったりすると、家屋内部が荒れ放題で、物で溢れかえっていることもあります。

 

現在の所有者が捜索をすることも難しく、家の構造や、隣接地との境界に関する書類なども、発見が困難な状態になっていることもあります。

 

さらに、長年放置されていた空き家の場合、老朽化が進み危険な状態になっている、育った樹木が越境している、ということもあります。

 

相続人ではなく、相続財産管理人が空き家を管理、処分する場合は、より事情を把握しにくい状況になります。

 

そこで、契約不適合責任を免責する条項を付して売却することもあります。

 

契約不適合責任を免責する場合、売却価格はどうしても下がる傾向にありますが、放置を続けていてもメリットはあまりありませんので、売れるうちに処分する方が良いと考えられます。

 

また、契約不適合責任を免責する条件での売買は、買主側がリスクを負担することになります。

 

そのため、現状有姿で空き家を買い取るノウハウ等を有している専門業者へ売却することも多く行われています。