相続財産管理人日誌27

今回も本ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

 

弁護士の鳥光でございます。

 

相続財産管理人についての27回目の記事となります。

 

今回は、被相続人の債務に関する調査についてです。

 

相続財産管理人の業務において、相続債務の調査方法は2つあります。

 

1つは、知れたる債権者に対するものです。

 

これは、被相続人の遺品などから判明する債務です。

 

例えば、被相続人の自宅の郵便ポストに、未払いの公共料金の請求書が入っている場合、請求元の電力会社やガス会社などに残債の金額を照会することで、債務の存在と債務額が判明します。

 

具体的な請求書がない場合でも、国税(被相続人の住所地を管轄する税務署)、住民税・固定資産税・都市計画税等(被相続人の住所地を管轄する市役所等)、国民健康保険・国民年金等(被相続人の住所地を管轄する市役所・年金事務所等)には照会を行い、滞納がないかは確認します。

 

併せて、逆に還付金の有無も確認し、有る場合には相続財産として回収します。

 

2つめは、相続債権者に対する請求の公告を行った際に、届け出によって判明する債務です。

 

被相続人の自宅等から発見した資料のみでは判明しない債務については、この方法によって調査をします。

 

相続財産管理人が選任されるケースのうち、被相続人が債務超過に陥っていた場合、債務の調査は特に重要になります。

 

債務超過ケースは、相続人がもともと不在ということは少なく、たいていは相続人が存在していたものの、全員が相続放棄をしています。

 

相続放棄に至る過程において、相続人は、被相続人宛ての貸金業者等からの請求書等を発見しています。

 

そのため、通常、一部の債務は判明します。

 

自宅不動産に抵当権が設定されていることもあるので、乙区を見ることで債権者がわかることもあります。

 

場合によっては、CICやJICCへ問い合わせ、債権者を調査することもあります。

相続財産管理人日誌26

アクセスいただき、ありがとうございます。

 

弁護士の鳥光でございます。

 

相続財産管理人業務に関する、26回目の記事となります。

 

今回は、建物売却までの間の火災保険加入についてです。

 

相続財産の中に、自宅建物が含まれている場合、売却換価までの間は、現状を維持する必要があります。

 

特に特別縁故者が存在する可能性がある場合、1年以上、自宅建物の換価をしないというケースもあります。

 

建物周辺に燃えやすい廃棄物があったり、乾燥する時期をまたいだりする場合、火災が生じる可能性も否めません。

 

火災が起き、近隣の住民の方などに被害が生じた場合、損害賠償責任が発生することも考えられます。

 

そこで、売却換価するまでの間、火災保険に加入するという対応をすることがあります。

 

被相続人の資産がそれなりにある場合で、かつ死亡からあまり時間が経っていない場合、もともと加入していた火災保険の期間が続いていることもあります。

 

この場合には、保険加入者の名義を相続財産管理人に変更するという手続きをとります。

 

被相続人が債務超過の状態であるなど、自宅不動産以外にめぼしい財産がない場合や、被相続人死亡から長期間が経過している場合、火災保険に加入していない(または保険期間が切れている)ことがあります。

 

この場合には、改めて相続財産管理人による火災保険加入が必要になることもあります。

 

なお、保険会社側としては、相続人不存在となっている空き家を対象とする火災保険は、極めて稀なケースです。

 

そのため、例外的な審査等が必要になることがありますので、保険会社等の窓口担当者の方へ、しっかりとした情報提供をすることが大切です。