実践・生前整理 2

2月に入り,寒さもあと少しという感じになってきました。

 

もっとも,その後は花粉の季節になりますので,色々と対策が必要ですね。

 

東京駅前にある法律事務所で相続案件を扱っている,鳥光と申します。

 

生前整理シリーズ第2弾です。

 

今回は,持ち物を減らすことで,法律関係を整理,最小化するというお話をさせていただきます。

 

この写真は,以前泊りで出張した際に携行した財布類と時計です。

 

 

財布類は,アブラサスの薄いマネークリップと,小さい小銭入れです。

 

これらは,いわゆるミニマリストと呼ばれる方々に大変人気がある品です。

 

マネークリップには,カードが5枚しか入りません。

 

このような財布を使うと,必然的にカードの枚数を減らすことになります。

 

具体的には,クレジットカードとキャッシュカードを絞らなければなりません。

 

ポイントカードもなくしていく必要があります。

 

クレジットカード,キャッシュカード,ポイントカードを減らすと,当然法律関係も減らせます。

 

財布類をミニマライズすることは,物と法律関係を減らすことに直結します。

 

時計はクォーツ式のもので,そこまで高価なものではありません。

出張の時は便利なので使っています。

 

これ以外に,機械式の時計を2つ持っています。

 

機械式の時計の方は,やや財産的価値があるので,1箇所に纏めておき,仮に私が死亡した際,相続人が換金等をしやすくしてあります。

 

 

これは,出張に着て行った衣類です。

 

 

冬はインナーにダウンを着ます。

 

冬以外のシーズンはダウン無しで着ます。

 

こうすることで,コート類を持たずに済み,残置物となり得るものを減らせます。

 

スーツは,以前は10着近く持っていましたが,現在は4着です(うち1着は,ユニクロの感動ジャケットと感動パンツです)。

 

仕事はスーツを着るほか,普段もちょっとした外出の時はスーツを着てしまいます。

 

仕事着を普段も使いまわすことで,衣類も減らすことができます。

 

このようにして,私の所有権に属するものを最小化します。

相続放棄と金銭請求手続き

2月に入り,暖かい日と寒い日が入り混じるようになりました。

 

急に寒くなったり,雪が降るような日もありますので,体調管理には気を付けたいところです。

 

弁護士法人心東京駅法律事務所で相続案件を中心に取り扱っている,鳥光でございます。

 

去年から相続放棄の取扱件数が非常に増えております。

 

相続放棄は,手続きそのものは単純ですが,付随する問題はたくさんあり,それに対する対処は簡単ではありません。

 

その中でも,特に相続人を悩ませるのが,死亡保険金や公的機関からの給付金・還付金等の類です。

 

なぜなら,相続放棄という制度は,法定単純承認に該当する行為をすると認められないというルールになっているためです。

 

この法定単純承認に該当する行為の中には,被相続人の債権の取り立てが含まれるとされています。

 

つまり,請求をして受け取った金銭の中に,被相続人の債権に基づくものがあると,相続放棄が認められなくなる可能性が出てきてしまうのです。

 

本当に保守的に考えるのであれば,すべて一切受け取らないという選択を取ることになります。

 

しかし,死亡保険金などは,100万円を超えるものもあり,切り捨てるには惜しいものでもあります。

 

そこで,ご相談をいただくことが多い,死亡保険金・死亡退職金,葬祭費の給付金,未支給年金について,一般的な考え方を案内いたします。

 

1 死亡保険金・死亡退職金

 

契約者・被保険者が被相続人,受取人が相続人となっているものは,受け取ることができます。
言い換えますと,相続人固有の権利となっている場合,相続財産ではないので,受け取っても法定単純承認事由には該当しません。

 

2 葬祭費の給付金

被相続人の葬儀費について,喪主や相続人に対して市区町村より補助金が給付されることがあります。
これについては,条例でもって葬儀を主宰する者に支給するという条文が通常ありますので,これに該当する給付金であれば受け取ることができます。

 

3 未支給年金

未支給年金とは,被相続人に支払われるはずであった年金のうち,支払い日までに被相続人が死亡してしまった場合に給付される年金です。
これについては,法律で受取人の順位が決められており,その受取人固有の権利とされるので,受け取ることができます。

 

しかしながら,実務の現場では,さらに大きな壁があります。

 

考え方を知っていることと,請求しようとしている金銭が法定単純承認事由に該当しない法的性質のものであると確定できることとは,全く別の問題です。

 

死亡保険金・死亡退職金は,契約の内容によっていくらでも性質が変わってきますし,会社によって書き方や表現の仕方も変わるので,個別具体的に確認しなければなりません。

 

公的機関から受け取ることができる金銭についても,都度何の法律のどの条文に基づくものであるかを,できれば窓口で確認し,支給の根拠条文が記された書面をもらいたいところです。

 

上には記載しませんでしたが,高額医療費の還付金などは,より複雑です。

高額医療費の還付金は世帯主に支払われるものです。

高額医療費を支出した人が世帯主であり,亡くなった場合,相続人を世帯主に変更すると,一見相続人固有の権利として還付金を受取れそうに見えます。

しかし,高額医療費の還付金を請求できる権利が確立した日が,被相続人死亡日前であったりすると,還付金請求権が被相続人の債権ともなり得ます。

こうなると,請求することは差し控えた方がよいということになります。