遺言作成の第一歩は財産整理

アクセスいただきありがとうございます。

 

東京近郊を中心とした相続案件を担当している鳥光(とりみつ)と申します。

 

高齢化に伴い,遺言を作成されることをご希望のお客様が増えてきました。

 

(余談ですが,遺言という漢字の読み仮名は,一般的には「ゆいごん」,法律家の業界では「いごん」です)

 

遺言を作ることを考える場合,何から始めればよいでしょうか。

 

遺言とは,端的にいえば「誰」に,「何」を相続させるまたは遺贈するかを記したものです。

 

つまり,「誰」と「何」を確定させなければなりません。

 

このうち,通常は,「誰」の部分は,決めやすいことが多いです。

 

ご相談にお越しいただいた時点で決まっていることもあります。

 

一方,「何」の部分につきましては,調査,整理が必要となることが多いです。

 

もちろん,ご自身の資産を完全に把握され,財産目録を作って管理されている方もいらっしゃいます。

 

しかし,多くの場合,不動産や預貯金,株式などについて,だいたいの部分は把握されていても,正確な番地や,口座情報等まで一目見てわかるという状態にはなっていません。

 

遺言書には,相続または遺贈する財産を正確に記載しなければなりません。

 

そこで,弊所では,固定資産税通知書や,金融機関の通帳,証券会社のレポート等,財産の整理に有用な資料をお持ちいただき,遺言書に記載すべき情報を割り出すということをさせていただいております。

 

遺言作成の第一歩は,財産整理からです。

 

遺言を作りたいけど,財産整理にお悩みであるという方は,ぜひご相談ください。

財産が少ないほど争われるのはなぜか

今回もブログをご覧いただき,ありがとうございます。

 

東京近郊の相続事案を中心に取り扱っている,弁護士の鳥光(とりみつ)と申します。

 

相続は,財産が少ないほど争いになるというお話をよく耳にします。

 

裁判所の統計においても,遺産分割調停が申立てられるケースの半数以上は,相続財産が1億円に満たない場合です。

 

では,財産が少ない場合において,具体的にはどのような争いになるのでしょうか。

 

相続財産が少ない場合,不動産がないか,あったとしても少額のものです。

 

そうすると,相続財産は預貯金等の金融資産が中心となります。

 

預貯金が少ない場合,「もっとあったはず」という思惑が相続人の頭に浮かぶことがあります。

 

特に,相続人の中に被相続人と同居していた人がいると,その相続人に使い込まれたのではないかという疑いに発展します。

 

また,被相続人と同居していた相続人は,他の相続人から見ると,被相続人の財産に関する情報を掴みやすい地位にいます。

 

そのため,他にも預貯金があるのではないか,同居していた相続人が通帳やカードを隠しているのではないか,という話になることもあります。

 

真実はどうあれ,一度このような疑念が生じてしまうと,被相続人が亡くなった時点での預貯金の額を示されても,遺産分割協議は全く前に進みません。

 

このような場合,疑うにしても根拠が必要ですので,遺産分割協議の前提として,まずは相続財産に関する情報を調査・整理する必要があります。

 

具体的には,被相続人の預貯金に関する残高証明,取引履歴を取得し,内容を精査します。

 

その結果,過去の取引に納得性があれば疑いは解消され,遺産分割協議を進めることができます,

 

逆に被相続人の生活に必要と考えられる金額を遥かに超える引出しがあれば,釈明を求める等により,遺産の配分を交渉するということもあります。
(正確には,仮に被相続人の生前に他の相続人が被相続人の許可なく預貯金を使い込んだ場合,不当利得という扱いになります)

 

遺産の分け方を議論する前提としての,相続財産の調査は,遺産分割協議を進めるうえで非常に大切なことです。

 

弁護士は,お仕事等でお忙しい相続人の方々に代わり,金融機関等に対し,相続財産調査をすることができます。

 

まずは相続財産調査についてご相談いただき,具体的に相続財産が判明してから,改めて遺産分割のお話に進めさせていただくという手順をとることもよくあります。