現場は大切

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弁護士法人心で相続を中心に取り扱っている,鳥光(とりみつ)でございます。

 

先日,相続案件に関連して,現地調査に行ってまいりました。
目的は,相続財産の正確な把握です。
特に土地や建物は,当事者のお話や,登記に関する情報,Googleストリートビューなどでもある程度は把握できますが,一方では実際に目で見てみないとわからない情報がたくさんあります。

 

土地については,実際の間口の狭さや,段差,傾きなどは,実際に目で見て体験してみないとわかりません。
建物については,内部の状況はGoogleストリートビューで見ることはできませんし,ひび割れや備品の破損など,細かい情報も知ることはできません。
また,被相続人の遺品の状況や,対立している相続人が占拠している状況など,様々な情報を正確に知ることができます。

 

相続財産を正確に把握することの利点は2つです。

 

1つは,正確な判断ができることです。
人伝に聞いた情報や,文字だけの情報から事実を把握しようとすると,無意識のうちに想像や推測が混じってしまうということがあり得ます。
そうすると,あってはならないことですが,不正確な事実を認識してしまうという危険性があります。
どこかの事実を誤って認識してしまうと,連鎖的に他の事実まで誤って理解してしまうことになり,結果として実態とはかけ離れた判断をしてしまいかねません。

 

2つめは,交渉の際に説得力を持たせることができることです。
遺産分割で弁護士が入る時とは,基本的には他の相続人との間で争いや対立がある時です。
任意交渉や調停の場においても,どこかのタイミングで相手方相続人やその代理人と,何らかの形でお話をします。
例えば,相続財産である古い老朽化した建物を売ってお金に換えたいという相続人と,そのまま残したいという相続人とがいたとします。
売りたいという相続人側の代理人として交渉する際,単に老朽化しているから売った方が良いと言うのと,実際にどのような部分がどのように破損していて,修復や維持には大きな費用がかかる可能性があるという話を,自分で撮った写真を添えてするのとでは,相手に対する説得力が全く異なります。

 

弁護士業務を進めるうえで,重要と考えられることについては,できる限り現場で現物を見るということを大切にしていきたいと思います。