相続財産管理人日誌9

相続財産管理人日誌、第9回目です。

 

相続財産管理人弁護士としての日々の体験談を、秘密の漏洩にならない範囲で紹介していきます。

 

相続財産管理人口座を作成し、被相続人の預貯金の存在が判明したら、次は預貯金の解約と、相続財産管理人口座への送金を行います。

 

この手続きも非常に時間がかかるため、早めに着手した方が良いです。

 

基本的には、相続財産管理人選任審判書、相続財産管理人の身分証明書、相続財産管理人印鑑証明書と印鑑、相続財産管理人口座の情報が最低限必要になります。

 

かなり例外的な手続きとなりますので、可能な限りは、窓口で金融機関の担当者の指示を仰ぎながら書類等を書く方が得策です。

 

多くの金融機関は、相続財産管理人の代理人でも手続きを認めてくれます。

 

その場合の書類(委任状)についても、事前に記載事項を確認しておくとよいです。

 

ゆうちょ銀行に被相続人の預金がある場合、解約後の送金は、同じゆうちょ銀行の口座にしかできません。

 

相続財産管理人口座がゆうちょ銀行以外である場合は、次の2つの方法で預金を移動します。

 

ひとつは、一旦証券をもらい、現金化したうえで、相続財産管理人口座へ預け入れをするというものです。

 

被相続人の預金が多額である場合、一時的に多額の現金を持ち歩かなければならないため、精神的な負担は大きいですし、実際に危険性もあります。

 

もうひとつは、ゆうちょ銀行にも口座を作る方法です。

 

お金の流れがわからなくなってしまうと危険ですので、ゆうちょ銀行においても相続財産管理人名義の口座を作り、一度この口座に被相続人の預金を移した後で、元々有している相続財産管理人口座へ送金するとよいです。