生前整理と相続人の負担の軽減

東京駅法律事務所にて,相続案件を中心に担当している鳥光と申します。

 

相続を円滑に進めることと,自身の所有物や法律関係を生前に整理・片付けを行うことは,とても密接な関係があります。

 

一言で申しますと,被相続人がお亡くなりになった時の財産がシンプルであるほど,相続財産調査,残置物処分が楽になるため,相続手続きは円滑に進みます。

 

富裕層における相続税対策等の観点をひとまず措きますと,相続財産が預貯金等のみである場合が最も円滑に手続きを進められます。

 

動産は,少なければ少ないほど良いです。

 

残置物の処分の手間・費用が少なくて済みますし,相続放棄を検討する際にも悩む必要がなくなるためです。

 

不動産があると,相続手続きの手間はグッと増えます。

 

まず,登記簿や固定資産税通知書を探し,相続財産である不動産の正確な情報を割り出さなければなりません。

 

そのうえで,評価額を算定し,誰が当該不動産を取得するかを決め,遺産分割協議書作成後,相続登記を行うことになります。

 

相続放棄をする場合には,不動産があると管理責任が残りうるため,相続財産管理人の選任申立ても検討しなければなりません。

 

この場合,手続きを代理人に依頼する場合には手数料が必要ですし,裁判所に対しても多額の予納金を納めなければならず,相続人の負担はとても大きくなります。

 

人間は,いつ亡くなるかわかりません。

 

特に高齢になればなるほど亡くなる可能性は高くなっていきます。

 

若い方ももちろんですが,高齢に差し掛かった方こそ,日頃から不用品の片付けを心掛け,相続人が使うあてのない不動産は早めにお金に換え,使っていないカード類を解約しておくなどをしておくことで,相続人の苦労を事前に減らすことができます。

生活のミニマル化と相続

アクセスありがとうございます。

 

東京駅法律事務所で相続案件を担当している弁護士の鳥光と申します。

 

数年前から,ミニマリストという言葉が登場してきた記憶があります。

 

明確な定義は無いと思慮しますが,自らの生活にとって必要十分な物・法律関係のみを持って生活する人,というニュアンスだと思います。

 

このようにすることで,自分は何をどれだけ持っているのかが明確になり,管理の労力が減るという効能があります。

 

相続の観点からは,ミニマリストの趣旨と,生前整理・終活は非常に相性が良いと感じております。

 

著名なミニマリストの方も,(まだお若いのに)終活についてのご意見を述べていたりします。

被相続人が,生前整理として,必要最低限の物のみを持つようにして,所有物・法律関係を最小化しておけば,お亡くなりになった際,相続人が遺産を整理することが容易になり得ます。

 

預貯金等を1つの金融機関に纏めておけば,通帳やカードも1つで済み,口座の名義変更手続きも1回で済みます。

 

動産を極力減らしておけば,処分は簡単です。

私自身,昨年までは物を多く持っていましたが,かなりの量の処分をしました。

 

その過程で,預貯金等の金融資産の棚卸や,ほとんど使っていないクレジットカードの解約等も行いました。

 

自分が次の日,交通事故などで死ぬかもしれないと仮定して,自分の相続人が困らないようにするにはどうしたらよいか,という観点で片付け,整理を行っております。

 

通帳などの財産状況がわかる資料は一か所に纏め,自宅の賃貸借契約書など法律関係に関わる書類は纏めて一つのファイルに綴じました。

 

このような準備をしたうえで,遺言を作成し,付言事項に書いておけば混乱が起きにくいと考えております。